約2000世帯が無事を知らせる黄色い旗を掲げた

東京都は3日、調布市との合同総合防災訓練の2日目を行った。多摩地区で震度6強の地震が起こったと想定。調布市の約2000世帯が安否確認訓練として玄関先などに黄色い旗を掲出する「黄色旗大作戦」を実施。多摩川児童公園では約60機関が参加した大規模な救助訓練が行われたほか、物資輸送訓練では6月に運用を開始した立川市にある東京都多摩広域防災倉庫も活用された。

小池知事(中央)は町会関係者から「黄色旗大作戦」の説明を受ける

旗やハンカチといった黄色い布類を玄関に掲出し、住人の無事を知らせる訓練は静岡県富士市で約10年前に始まり、他の自治体でも同様の方法が行われているという。周辺の人からの無事の確認がしやすく、救助のスピードアップにつながるという。この日は午前10時までに約2000世帯が黄色地に黒字で「無事です」と書かれた旗を玄関などに掲げた。

倒壊した住宅の屋根を切り開き生存者を救出する訓練

多摩川児童公園で行われた公助訓練では東京消防庁や自衛隊など約60機関が参加。韓国・ソウル市や台湾の台北市と新北市、シンガポールのレスキュー隊も参加した。調布市内の木造住宅密集地域をイメージしたセットで、消火活動のほか屋根や車を破壊しての救助活動、東京DMAT(災害医療派遣チーム)による救急活動などが行われた。多摩川では自衛隊などのヘリコプターが水難救助も行った。最後は1分間に8000Lの川の水をくみ出すスーパーポンパーを用いた一斉放水も行った。

自衛隊のヘリ(上)が水難救助訓練に参加した

小池百合子知事は「黄色旗大作戦」や多摩川児童公園での訓練を視察。訓練後の講評として「防災機関のポテンシャルは大きい。皆さんの日々の訓練・研さんがありスムーズに訓練が行われた。2020年東京オリンピック・パラリンピックは調布市も会場であるが、地震が大会中に起こる最悪の事態もありうる。いざという時に最高の力を発揮する『セーフシティ・東京』を目指す」と述べた。また自身が経験した1995年の阪神・淡路大震災では「8割の救助が自助・共助によるものだった」と説明。「ありとあらゆることが災害時には同時に起こる」と学んだことを紹介した。

さらに小池知事は訓練後、報道陣に対し自宅から都庁へのヘリ移動を行った1日の訓練も含め振り返り、「(都の災害対策)本部長である自分が不在だと何も始まらない。改めて自分の責任の重さを感じた。移動については幹線道路が使えない場合などケースバイケース。できるだけいろいろな想定が必要」と述べた。

輸送訓練では広域輸送基地として都多摩広域防災倉庫を活用する想定で、近隣県から物資を受け入れ、想定輸送拠点である調布市のNTT中央研修センターへ物資を輸送。また、在日米軍による福生市などにまたがる横田基地への空路での輸送も行われた。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介