審議会の渡邉会長は、近年の新たな感染症流行への対応の重要性を述べた

東京都は10年ぶりに感染症予防計画を改定する。5日、「東京都感染症予防医療対策審議会」の今年度第1回会合を開催した。3月の国の感染症予防の基本指針が改正されたのを受け、都でも2008年3月に策定された現行計画を改定する。西アフリカでのエボラ出血熱流行やデング熱の国内感染といった、国際化が背景にある最近の状況に対応する観点から見直す方針が示された。10月前半には答申素案として中間まとめ、2018年1月に答申を行い、今年度内に改定を完了する。

国では3月に基本指針を改正。2014年11月の感染症法の改正や状況変化を踏まえ、新型インフルエンザ流行に備えた医薬品の備蓄や確保などが盛り込まれた。都では新型インフルエンザ以外にもエボラ出血熱やMERS(中東呼吸器症候群)、デング熱、ジカ熱など近年問題となっている感染症を注視。デング熱やジカ熱対策として、蚊の捕獲やウィルスの保有検査といったサーベイランスも実施している。

同審議会の渡邉治雄会長(国際医療福祉大学大学院 医療福祉国際協力学分野 教授)は、「現行計画が策定されて以降、エボラ以外に韓国でのMERS流行、デング熱の国内発生と思ってもいなかったことが起こっている」と述べた。都は新計画で2020年東京オリンピック・パラリンピックも控え、国際化の進展も踏まえ新たな感染症への対策を示す方針。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介