2013年4月発売省エネ住宅も好評 
同社は今年4月、スマートハウスの新商品「グリーンファースト・ゼロ」を発売した。“住宅が創るエネルギー”と“住宅が消費するエネルギー”が相殺でゼロになる、国の住宅施策「ゼロエネルギー住宅」(政府目標は2020年に設定)に準えた商品。躯体の断熱機密性能を、高性能サッシの採用などにより従来品に比べて30%向上(関東以南でも北東北並みの仕様に)、通風や日射遮へい等の設計の工夫や高効率のエアコンやLED照明の採用に加えて、太陽電池、燃料電池、HEMSを組み合わせて“ゼロエネ”を実現する。 

同企画住宅の発売当時は、全戸建住宅に対する販売比率目標を40%としていたが、実績は5月37%、月644%、月は51%と過半を占めるよう7になり、目標を50%以上に上方修正する嬉しい事態となった。

先に挙げた燃料電池と太陽電池の2つの創エネシステムでは、年間約6500kWを発電できるが、4人世帯の標準家庭(東京都40坪の場合)で使用する電力量は5000kW程度のため、約1500kWは余剰電力として近隣へ供給可能。「日中は街の発電所として社会貢献できる」とアピールしている。

同社の省エネ住宅では、太陽電池の電力を、停電時でも1500wまで活用できる赤色の専用コンセントを1口設けており、自家発電の電力を利用できる。日が照っている日中であれば、テレビ、冷蔵庫、携帯電話の充電ぐらいは十分賄えるイメージだ。

震災エリアで普及する制震工法


阪神淡路大震災時に被災地に建っていた約3万戸の全半壊がゼロだった積水ハウス。標準仕様でも地震の揺れに強い同社の住宅だが、地震の揺れ幅を減衰させて人や家財の安全・安心を向上、繰り返しの地震にも躯体性能と財産価値を保全できる制震工法と免震工法の取り組みにも注力している。 

制震広報のシーカスは、震度7クラスの地震でも建物の変形量を約2分の1に低減できるというもの。階建2て住戸の耐力壁の一部に長方形のフレームとくの字型のダンパーからなる金属製の専用フレームを組み込む。ダンパーの心臓部である地震エネルギーの吸収体には、エネルギー吸収率約60%、伸び率720%という高性能ゴムを採用。地震エネルギーは、熱エネルギーに変換されて減衰する仕組み。繰り返しの地震にも対応し、耐震装置の耐久性も高いという。 

東北の被災地エリアにおけるシーカスの採用率はほぼ100%と好評。免震工法は高価なことと、揺れ幅が大きく敷地に余裕が無いと難しいため、同社ではシーカスの採用を勧めている。

安全な空間確保と防災備蓄 
同社は2004年の中越地震直後に、被災後も自立生活が可能な防災住宅なる企画商品も発売。当時からエネルギーの確保、安全な生活空間の確保と水と食料の備蓄の必要性を投げかけてきた。キッチン収納では、地震時の開き戸のロック機能のほか、引き出しの飛び出しを防止する留め金も標準装備。家具については、同社独自の家具転倒防止金具の開発も行っている。 

水と食料の確保では、リットル200の雨水タンク、非常食や防災グッズを効率的に収納できるストックシェルターも独自開発。収納庫には地震時にも中身が飛び出さない留め金付き。先に入れたものをスムーズに取り出せる引き出し式の仕様にした。 

住宅団地ではコミュニティ支援も
同社は、住宅団地の分譲を手がける企業として、CSRの一環として2005年に独自の「まちづくり憲章」を制定。安心して豊かな生活を送ってもらうためには、まちづくりやコミュニティの育成支援が欠かせないと考えている。 

良好な人と人とのつながりを形成するために掲げたキャッチコピーは「ひとえん」。“おはよう”の声が聞こえる街を理想とし、ひとえんをつくるための「場づくり」「きっかけづくり」「組織づくり」の提どもが会社の役割と認識して実践。場づくりでは団地内の公園整備、きっかけづくりではイベント開催、組織づくりでは、住民意見をまとめる組織の設立や加入促進の協力なども担う。イベントでは、フランス発祥の食べ物を持ち寄って語らいながら楽しく過ごす“隣人祭り”などを実施。防災訓練を行うこともある。

防災情報の提供システム開発も 


HEMSの見える化機能では、リビング内に設けた専用モニターでエネルギーの使用量も確認できるが、省エネに関する客観数値だけでは、いつしか見られなくなってしまう。 

そこで、2010年11月の日本APEC開催を期に横浜のみなとみらいに建てられたスマートハウスのモデル住宅「観環居(かんかんきょ)」には、近未来のスマートハウスの一環として、総務省の補助認定も受けて、“こんな情報がテレビで見られます”という「リビングテレビ」を他社と連携しながら提案している。 

地域情報サービスとして、自治体から出される防災情報として、ハザードマップや避難所、避難経路、および避難所で提供してもらえる事柄などを確認できるデモンストレーションも行っている。