運転席にある車両正面のドアからも乗客の避難誘導を行った

東京都は20日、板橋区にある都営地下鉄三田線の志村車両研修場で都営地下鉄の今年度「異常時総合訓練」を実施した。都交通局のほか東京消防庁も協力し参加者は約230人。三田線の日比谷駅間近を走っている車両が震度6強の地震により脱線。負傷者の救出のほか車両や施設の復旧作業を行った。

設定では白金高輪行きの乗客110人を乗せた三田線車両が日比谷駅のホームにさしかかったあたりで早期地震警戒システムを受信し緊急停止。その直後に震度6強の地震に見舞われ脱線するというもの。第1訓練は避難誘導訓練、第2訓練は復旧作業訓練を行った。

重傷者2名への応急処置を行う東京消防庁の救急隊員

地震直後に運転士が総合指令所と通信し、乗客に車内待機をさせたうえで乗り合わせていた職員と車内や床下を確認。消防や警察への通報をしたほか応援職員の派遣も決定。車両や線路など施設の状況を確認後、通常の側面のドアのほか運転席のある車両正面のドアにはしごをかけ、乗客の避難を誘導。途中で震度3の余震発生や勝手に乗客が外に出るといったこともシナリオに入れていた。乗客には視覚障害者もいる設定で付き添い誘導をした。消防はトリアージを準備。重傷者2名、軽症者は10名。重傷者1人にはAED処置も行い、搬送した。

ジャッキアップで脱線車両を元の位置に戻した

第2訓練では避難完了後に復旧作業にとりかかった。保守車両であるトロリー車が駆けつけ、職員が屋根に上りパンダグラフを固定。その後に脱線している車両をジャッキアップし、線路に戻した。線路や架線の修復も済み、保守車両も撤収し架線への送電を実施、運転再開ができるところまで作業を行ったところで訓練を終了した。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介