2017/11/10
防災・危機管理ニュース
内閣府は災害時の住宅の被害認定の見直しを行う。6日、「災害に係る住家の被害認定に関する検討会」の第1回会合を開催。航空写真を活用した調査の効率化や地盤被害の判定の見直しなどに取り組む。今年度末に被害認定基準の運用指針と実施体制の手引きの改定案のとりまとめを行う方針。
り災証明書の発行に必要な住宅の被害認定は、研修を受けた調査員が行う。検討会では調査の開始前には発災前後の航空写真を使い、地域ごとの被害の把握や被災した住宅をある程度特定をすることにより、効率化と迅速化を図る。航空写真をどう入手するか、航空写真から全壊や半壊などどの程度被害判別が可能かなどを検討する。
地盤については現状、地割れや斜面崩壊については基礎への被害や傾きがあった際に損害割合に算定。明らかに建て替えが必要な場合でも、建物自体に損害がない場合は「被害なし」と判定されることもある。地盤の被害で明らかに建て替えが必要と考えられるケースについて検討する。また、液状化の傾斜や滑り込みについては現在の運用指針は地震保険損害認定基準よりも厳しく、保険の基準と整合させる見直しも是非を話し合う。
水害判定では戸建住宅について、外観や浸水深による判定である第1次調査を津波や水流のほか、がれきの衝突といった外力被害があった場合に行う。判定が早いことから本来はより詳細な第2次調査から行うべきケースでも第1次調査を行う事例もあるが、外力被害がなく浸水のみの場合に行っても、第2次調査で1次を上回る判定がされることはまずない。また、外力被害の定義もあいまいな部分があるという。
そこで外力被害がない場合の第1次調査の判定基準を定めることや、外力被害について具体的な定義を行う方針。また、7月の九州北部豪雨で土砂や流木の流入が多かったこともあり、こういったケースでの簡易な判定が行えるか検討する。
■ニュースリリースはこちら
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/higainintei/dai1kai/index.html
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方