職場向けと地域向けのカリキュラムを組み、来年度開始する

東京都は21日、「女性の視点からみる防災人材の育成方針」の第3回会合を開催した。女性防災人材の育成に向け、テキストとカリキュラム両方で基礎的なものと応用的なものを用意。カリキュラムについてはさらに地域向けと職場向けのコースを用意する。

テキストについては基礎編に身を守る知識と避難生活に関する知識を掲載。身を守る知識では事前の備えや発災時にその場で身を守る方法、生活再建方法を、避難生活に関する知識では心と身を守る方法や快適に避難生活を送る方法を掲載する。応用編では(1)女性が活躍した過去の好事例から講師の解説を経て受講者が演習を行う(2)過去の震災を参考に仮想の状況を作り、講師の解説や受講者の演習を行う―の2パターンが示された。いずれも応用編は受講者が考えをめぐらし演習を行う内容となっている。

カリキュラムについては基本編の「ウーマンセミナー」と上級編の「防災コーディネーター育成研修会」(いずれも仮称)を実施。いずれも専業主婦を中心とした地域向けと働く女性向けに展開する。基本編は座学で、上級編は座学以外に演習も実施。基本編で基礎編のテキストを、上級編では基礎編と応用編のテキストを利用する計画。

働く女性向けの基本編講座では業務中に災害が起きた時に何が起こり、どう身を守るのかを説明。上級編では災害時に会社や自分に何が起きているか理解し、対応するだけでなく、自分や周囲の困りごとを把握。3日間は帰宅できない可能性もあることから、環境改善に向けた提案や交渉ができるリーダー人材育成を図る。実施場所は協力企業のオフィスや都心など働く女性が参加しやすい場所とする。時間は基本編が平日夜間に90分程度、上級編は休日2日程度を見込む。

地域向けは基本編が居住地域にいるときに災害が起こった時にどう身を守るのか、上級編では地域の防災リーダーとなるべく、避難生活において改善に向けた交渉や提案のできる人材育成を目指す。時間は基本編が120分程度、上級編が2日程度いずれも休日に、場所は地域の公民館や新宿区の都庁を想定している。

出席した委員からは「働く女性向けにはBCP(事業継続計画)についても知ってもらいたい」といった意見が出された。都から委員にはテキスト掲載のため過去の災害における女性活躍事例を紹介するよう要請を行った。都では12月の次回会合で最終報告案を提示。2018年1月に最終報告を公表し、同3月にキックオフイベントを開催。2018年度からカリキュラムを開始する計画。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介