政令指定都市と道府県の権限について法改正を目指す

内閣府は、道府県から一部権限を希望する政令指定都市に移譲する災害救助法改正法案の2018年1月からの次期通常国会提出・成立を目指す。11月30日、「災害救助に関する実務検討会」の第4回会合を開催。政令指定都市側は内閣府案に賛成の意向が示された。政令指定都市が仮設住宅など費用を負担し実行主体となる代わりに、道府県から権限を移譲され国と直接協議もできるようにする方向。

災害時、都道府県は広域調整機能を持つ。仮設住宅や支援物資といった市区町村への資源配分などを行い、国との協議も行う。しかし2011年の東日本大震災では宮城県と仙台市が仮設住宅の建設の遅れについてお互い責任追及しあう事態となった。2016年の熊本地震でも災害救助の役割分担などで熊本県と熊本市が対立した。

災害救助法改正の内閣府案では都道府県と同等の災害対応力があると認められ、希望する政令指定都市については救助主体として認定する。仮設住宅整備や被災者への生活必需品の給与といった被災者への対応権限を、費用を政令指定都市が負担し実行する代わりに道府県から移譲を受ける。

また該当する政令指定都市は救助内容について国と直接協議できるようにする。例えば建設型仮設住宅の費用は戸あたり551万6000円以内となっているが、人件費や資材費の高騰で基準内に収まらない可能性がある。こういった場合、政令指定都市が基準の弾力的運用について国と交渉できる。

一方で都道府県の広域調整機能も改正で明確化する。市区町村相互間の連絡調整のほか、資源配分機能といった都道府県の役割・機能を定める。権限移譲を求める政令指定都市は、平常時から国や道府県との調整など体制作りを行っておく必要もある。

11月30日の会合では全20政令指定都市が内閣府案に賛成であることがわかったほか、都道府県側は広域調整権の中身についてさらなる詰めを求めた。内閣府では関係者間の調整を急ぎ、今年度内に閣議決定を行い、次期通常国会での災害救助法改正を目指す。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介