重要設備室の浸水防止

4000事業所、23万人が働く世界でも屈指のビジネス街である大丸有地区(大手町、丸の内、有楽町)。100棟強のビルが建ち並び、そのうち約30棟が三菱地所の所有する物件だ。都内でも豪雨の被害は深刻化している。地区の防災をリードする三菱地所に、ビルの水害対策について話を聞いた。

三菱地所の災害対策の歴史は古い。1923(大正12年)の関東大震災の際に、旧丸ビルやその周辺で飲料水の提供や炊き出し、臨時診療所の開設を行っている。震災直後から

官庁、銀行・会社、商店など400以上が丸の内に移転。三菱の仮本社に大蔵省や内務省などの省庁が臨時に設置されたこともある。震災後3年たった1926年には旧丸ビルで「安全第一ビルヂング読本」を作成。

社員の防災意識の向上に努めた。 

「大丸有地区の3割のビルを持つ三菱地所は、エリアマネジメントを主導する立場にある。周辺の手本になるような災害対策をとっていきたいと考えている」と三菱地所ビル運営事業部主幹兼ビル安全管理室副室長の大庭俊大氏は話す。 

現在、同社ではグローバル拠点に相応しい高度防災都市づくりなどを目的に「大手町連鎖型都市再生プロジェクト」を進めており、現在はその第3次事業が着工済みだ。

大丸有地区の水害対策最新設備 
2010年に発表された中央防災会議の「大規模水害対策に関する専門調査会報告書」では、200年に1度の荒川決壊が起きた場合に、千代田線沿線のエリアが広域的な水害に見舞われる可能性があるという想定結果が出た。