ミューチュアル社の有馬社長(中央)は顧問として榊枝氏(左)と濱田氏(右)を招いた

ミューチュアル・エイド・セオリーは9日、「Guardian(ガーディアン)72」と題した、災害時に役立つ備蓄品を詰め合わせたボックスの配送事業について東京・新宿区のホテルグランドヒル市ヶ谷で記者発表会を開催した。自衛隊OBを採用し、本部と札幌・仙台・東京・山梨・岡山・福岡の全国6カ所の拠点に配属する方針で、退職自衛官2人がミューチュアル社とGuardian72総合事業本部の顧問に就任する。

Guardian72のボックスには食料品や水、衣類、衛生用品など生活に役立つものを概ね1人向けに3日分詰め合わせる。通常時は備蓄倉庫に保管され、災害発生時に、既に1箱に1人分が詰められている状態で避難所に届けられる。倉庫業青年経営者協議会の全国に拠点を持つ倉庫業ネットワークと防災無線ネットワークにてキッティング・保管・配送を行う。価格は1箱あたり2万円。企業などからの寄付や、CSR対策費・防災対策費などでの購入を見込んでいる。

Guardian72総合事業本部の顧問に榊枝宗男氏(「榊」の中央はしめすへんの「ネ」)、ミューチュアル社の顧問に濱田昌彦氏が就任。榊枝氏は主に自衛隊OBの採用で、濱田氏はCBRN(化学・生物・放射性物質・核)に関する助言を行う。

榊枝氏は1953年生まれ。自衛隊ではルワンダでの難民支援やホンジュラスでの災害対応を行った。その経験から「難民への物資配給はいつ来るかもわからず、しかも何回も長時間並ばせることが多く心苦しかった。必要なものがしっかり入っているGuardian72の体制を整え、予期せぬ災害対策を一歩前に進める」と述べた。

濱田氏は1956年生まれ。陸幕化学室長も務め、化学兵器防護や放射線防護分野で活躍した。「日本は核攻撃にも備える必要性がある。2020年東京オリンピック・パラリンピックも控え、しっかりと万が一の際のイメージを共有し、関係者でコミュニケーションをとっておくことは重要」だとした。2011年の東日本大震災での福島第一原発事故での放射線への不安で福島県への物資輸送が混乱したことも踏まえ、ルートなど自衛隊OBらの知識や経験も活用していく方針を示した。

ミューチュアル社の有馬朱美社長は、「自衛隊以外にも地方自治体や消防、民間といった経験者を募りたい」としたほか、テロも想定し、CBRN対策を進める必要があると考え濱田氏を招へいしたことを明らかにした。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介