パネルディスカッションの様子

国立行政法人防災科学技術研究所(防災科研)が進める首都圏レジリエンスプロジェクト・データ利活用協議会は第3回シンポジウムを1月16日、東京都千代田区の銀座フェニックスホールにて開催。「データ利活用が目指す3つの先進技術」をテーマに、協議会に参加する企業と研究者が、 産官学のデータ利活用における先進技術事例について発表した。

文部科学省研究開発局地震・防災研究課長の竹内英氏は、冒頭のあいさつのなかで「地震が発生した場合に、従来よりも小さいメッシュのデータを収集することで、企業の事業継続や被害規模の迅速な把握が可能になる」とし、「企業の方たちと協力することで、実際に社会に役立つデータを提供できる段階に近づいている。今後の防災力の向上のため、ぜひ活発に議論して欲しい」と、データ利活用の重要性を強調した。

文部科学省研究開発局地震・防災研究課長の竹内英氏

続いて、首都圏レジリエンスプロジェクト総括の平田直氏が特別公演として「阪神・淡路大震災から明日で23年~都市直下型地震に学ぶ~」と題した講演を行った。平田氏は阪神・淡路大震災を振り返りながら、「阪神・淡路大震災と同様のM7以上の地震は、日本の周辺で明治以降200回以上、すなわち1年に1回程度のペースで発生している。この地震が23区のなかで発生すれば『首都直下地震』となる。そしてこれはいつ発生してもおかしくない」と警鐘を鳴らす。

また、江戸時代には伊賀上野地震の5か月後に安政東海大地震が発生。さらに安政南海地震と安政江戸地震が立て続けに日本の太平洋側を襲った事実に言及し、「巨大地震は、連続して発生する可能性もある。地域のレジリエンス力を高めるため、企業や組織で収集されたデータを活用し、防災分野の新たな価値を創造していかなければいけない」と、今後のデータ利活用のあり方を示した。

東京大学地震研究所地震予知研究センター長で首都圏レジリエンスプロジェクト総括の平田直氏

企業の活動報告では、パナソニック株式会社全社CTO室技術渉外部標準推進課主幹の下地達也氏から、「災害時のける都市機能継続を目指したスマートシティ国際標準化について」と題した発表があった。同社らが参加する日本発提案のプロジェクトであり、国際標準化を目指すCSC(City Service Continuity)では、都市サービスの継続的な供給のために不可欠なECP(電気継続計画)とECS(電気継続システム)を国際標準化のポイントと解説。下地氏は「都市がサバイブするためには、電源を確保が欠かせない。2020年の国際規格の発行を目指し、皆さんと議論し、連携していきたい」とした。

2つ目の企業報告では、ESRIジャパン株式会社コンサルティングサービス部長の名和裕司氏が「次世代のWeb GISの展望:GeoHUB等、基盤による個々のニーズへの対応」について報告した。同氏はGIS(地理情報サービス)の先進事例として米国ロスアンゼルス市の取り組みを紹介。GISを活用した歩行者と自転車の死亡・重大事故軽減のための取り組みのほか、1万4400キロにわたる道の清掃状況を可視化するなど、社会の課題解決にGISがどのように活用されているかを発表した。

最後のプレゼンテーションでは、サブプロジェクトC統括の早稲田大学理工学術院教授西谷章氏が「データ活用における地震後の広域的な安全度・危険度判定への期待と展望」を報告。同氏は「皆さんのビルの屋上の揺れの加速度の最大値が分かるだけでも、加速度応答スペクトルが推測でき、その地区の震度や揺れの状況の違いが短時間で分かる」とし、「例えば港区は芝地区、赤坂地区、麻布地区に分かれており、この3地区でそれぞれ計測できれば、より適切なデータを得ることができる」と、民間ビルへのセンサー設置を呼び掛けた。

パネルディスカッションでは、「データ利活用が目指す3つの先進技術」をテーマに、各登壇者にアドバイザリーボード構成員の中島正愛氏(株式会社小堀鐸二研究所代表取締役社長)が加わり、データ利活用が具体的にどのように社会に役立つのか、そのためにはどのような問題点があるのかなどについて意見を交わした。

(了)

(リスク対策.com:大越 聡)

編集部注:文中の人名に誤記がありました。誤) 名和祐司氏→正) 名和裕司氏です。お詫びし、訂正いたします。(2018年)