状況判断と情勢判断 
「状況判断」をWikipediaで調べてみますと、以下のように書かれています。

状況判断は作戦行動を遂行するために必要な各種の分析に基づいて行われる状況を判断することである。状況とはその時点における物事の様子などであるが、こ の状況判断においては主に戦闘状況を指し、任務判断、地形判断、敵情判断から成る。複数の状況を併せて情勢と言う。作戦指揮官は与えられた任務を達成するために部隊が置かれた軍事的な状況を論理的な推論によって把握しなければならず、この思考法を定型化することは戦術教育を行う上でも意思決定を行う上でも 意義のあることである。……

もともと状況判断は軍隊用語ですので上記のような表現になっていますが、状況判断とはさまざまな分析によってその時の状況を判断することで、情勢判断はさまざまな状況から物事に対する意思決定をすることを言います。そして、自分の任務を遂行するために情勢判断を行い、行動方針を決定することになります(図3)。

この情勢判断は1回で終わりではなく、常にまわりの状況が変化するなか、最善の対応を取らなくてはいけない。つまり情勢の変化に応じて決定事項に修正を加えていかなくてはならないのです。

連続情勢判断と使命


こちらは某大学の研究室での講義資料がネットで公開されているものです(図4)。 


この図4の例は、ある情報から行動方針を決定して実行し、実行の段階で新たな情報が入手できた場合には、その情勢に合わせて行動方針を修正して、実施事項を変えて物事に対処していくという流れを示したものだと思います。今の私たちに求められている、情報から判断する作業と異なるのは、「目的」がないことです。 

私たちが頭を悩ませている緊急事態発生時の迅速な対処や事業継続などの業務で考えれば、“会社の●●を守るため”(継続するため)といったような目的が示されて、そのために何をしておかなければならないか、どのように判断しなければならないかといった流れになります。目的は何かという事を明確に理解しておかなければ、その目的を達成するための正しい判断や行動ができない可能性もあります。 

情勢判断を一般的な問題解決の過程で考え、フローチャートにしてみると図5のようになります。 

問題に直面したり問題が発生した時に、まずその問題を十分に認識して、目的を確認または決めます。次にその目的達成のために何をすべきかを考え、方策を練ります。 

この方策が任務であり、確認したまたは決定した目的と併せて使命になります。使命は目的+任務で表現され、「●●●(目的を達成)のため、■■■(任務)を実施する」となります。この目的を確認して任務を決める作業を、「使命の分析」と言います。 

次に現在入手できている情報を考慮して、任務を達成するためには、何をどうしたらよいのかを考えていくつかの案を出し、その案の中で最も効果的であると考えられる方策を最適な行動方針として決定します。その後は、最適の方策を実行するための計画を立て、行動し、そのなかで情勢が変化したり新たな情報が入手できた際には、必要に応じて計画を修正して行動します。最適の方策を決めるまでの「過程」が情勢判断にあたります。