次が稼働レベルCOPです(表3)。

これはBCPそのものです。縦軸が業務内容で、横軸がその業務に使用する必須のリソースを表しています。4種類に色分けしていて、赤は稼働停止を意味します。赤がひとつでもある限り、重要業務が止まっていることがひと目で分かります。リソースの洗い出しができたら、その稼働レベルを定義することによって、BCPは策定、運用しやすくなります。 

最後が、対応状況COPです(表4)。

これは誰が何をやっているかを表す1つのやり方です。横軸は時間軸で、震災などが発生したら災害対策本部を起動し、マニュアルに則り人命救助や消火などの被害軽減のアクションを起こし、情報収集・共有して状況を把握し、対応方針を決定するといった一連の流れです。これはPを寝かせたような形をしていますが、Planning Pといって、ICS(Incident Command System)の仕組みを援用しています。このアクションの部分に、自衛消防隊を2番に、BCPを6番にぶら下げると、被害の軽減や事業の稼働レベルをアップする活動から、全体の指揮命令系統を動かす活動まで統合できると考えています。

COPの発想方法と課題設定 
COPの発想方法について話します。簡単に言うと、目的をしっかり決めて、目的を達成するための課題は何かを考えないと、COPは作成できません。単なる情報収集と集計ではないのです。そのために最も重要なのは課題設定と言えます。課題は目的の設定によって変わります。例えば避難所の目的として、以下2つを比較してみましょう。
■目的例1 「家を失った住民を一次的に避難させる」 
この場合は避難者に対して十分なスペースが取れるか、3日ほど貸してくれる場所はどこか、3日分の水と食料をどう調達するか、などを考えれば十分でしょう。
■目的例2 「家を失った住民の物心両面の生活保護を行う」 
このような課題設定をすると、さまざまな問題が発生してきます。高齢者や障がい者などの要援護者もいますし、日本語が通じない人やイスラム教など宗教上の配慮が必要な人や、ペットを連れてくる人もいるかもしれない。そういう方々がたくさん避難してきた場合は、物資の供給面などを心配しなくてはいけなくなります。 

目的が違って課題が違うと、集めなければいけない情報項目が全く変わります。重要項目のレベル加減も変わる。そこをしっかり設計に落とし込み、目的を決め、課題を設定し、レベル化を考えておかないと、機能するCOPを作成するのは難しいでしょう。 

最後に、私は最近ではBCPを作るよりも先にCOPを定義することをお勧めしています。COPを作れば組織の課題が明確になり、BCPで何をしなければいけないかが一目瞭然になるからです。