検討会の中村会長(左)は偏西風蛇行を今冬の天候の要因に挙げた

気象庁は5日、異常気象分析検討会の定例会を開催。今冬の天候の特徴と要因を発表した。大雪や低温の要因として、ラニーニャ現象や北極圏の上空にある寒冷で大規模な低圧部である極うずの南下などで南北の偏西風が蛇行。西から寒気が日本に流れやすくなり、特に西日本で低温を引き起こした。

今冬は西日本で1981~2010年の30年平均値と比較し、マイナス1.2℃。平均気温平年差マイナス2.1℃となった1986年冬以来の32年ぶりの寒さとなった。積雪は321地点中17地点で最深記録をマークしている。

今冬の大気の流れ。ラニーニャ現象により亜熱帯ジェット気流が蛇行(出典:気象庁資料)

検討会では、今冬の大気の流れについて、ペルー沖太平洋の海面水温が低くなるラニーニャ現象により、東南アジアでは海面水温が高くなりフィリピン東方沖から南シナ海付近で高気圧が発生。南方で西から吹く亜熱帯ジェット気流が日本付近で南に蛇行した。また北方で西から吹く寒帯前線ジェット気流は、極うずの南下などによりこれも南に蛇行。寒帯前線ジェット気流が西から日本に入り、寒気が流れ込むことで低温や大雪を引き起こした。

2月上旬の大気の流れ。極うずの南下で寒帯前線ジェット気流が大きく蛇行し、西日本に寒気が流れ込んだ(出典:気象庁資料)

とりわけ低温や北陸を中心に大雪となった2月上旬はシベリアでブロッキング高気圧が発生し、極うずが南下。北大西洋上空のジェット気流蛇行もあり、寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流が大きく蛇行し、西日本の寒気が強まった。

検討会の中村尚会長(東京大学先端科学技術研究センター副所長・教授)は定例会後の記者会見で「極うずの南下の頻度が多く、ラニーニャ現象も合わさった」と述べ、複数の現象が合わさって亜熱帯ジェット気流と寒帯前線ジェット気流の蛇行を引き起こし、日本への寒気流入につながった旨を説明した。

■ニュースリリースはこちら
http://www.jma.go.jp/jma/press/1803/05b/h30fuyunotenkou20180305.html

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介