2018/03/06
防災・危機管理ニュース
気象庁は5日、異常気象分析検討会の定例会を開催。今冬の天候の特徴と要因を発表した。大雪や低温の要因として、ラニーニャ現象や北極圏の上空にある寒冷で大規模な低圧部である極うずの南下などで南北の偏西風が蛇行。西から寒気が日本に流れやすくなり、特に西日本で低温を引き起こした。
今冬は西日本で1981~2010年の30年平均値と比較し、マイナス1.2℃。平均気温平年差マイナス2.1℃となった1986年冬以来の32年ぶりの寒さとなった。積雪は321地点中17地点で最深記録をマークしている。
検討会では、今冬の大気の流れについて、ペルー沖太平洋の海面水温が低くなるラニーニャ現象により、東南アジアでは海面水温が高くなりフィリピン東方沖から南シナ海付近で高気圧が発生。南方で西から吹く亜熱帯ジェット気流が日本付近で南に蛇行した。また北方で西から吹く寒帯前線ジェット気流は、極うずの南下などによりこれも南に蛇行。寒帯前線ジェット気流が西から日本に入り、寒気が流れ込むことで低温や大雪を引き起こした。
とりわけ低温や北陸を中心に大雪となった2月上旬はシベリアでブロッキング高気圧が発生し、極うずが南下。北大西洋上空のジェット気流蛇行もあり、寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流が大きく蛇行し、西日本の寒気が強まった。
検討会の中村尚会長(東京大学先端科学技術研究センター副所長・教授)は定例会後の記者会見で「極うずの南下の頻度が多く、ラニーニャ現象も合わさった」と述べ、複数の現象が合わさって亜熱帯ジェット気流と寒帯前線ジェット気流の蛇行を引き起こし、日本への寒気流入につながった旨を説明した。
■ニュースリリースはこちら
http://www.jma.go.jp/jma/press/1803/05b/h30fuyunotenkou20180305.html
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方