共助の考え方は国土計画にも反映されている(出典:写真AC)

国土交通省は7日、「今後の共助による地域づくりのあり方検討会」の第5回会合を開催。報告書のとりまとめを行った。災害時重要となる共助を担うNPOなど地域に密着した団体の活動について、人材や資金を持ち寄り、必要な時に関係者が集まり課題解決のために話し合える場となるプラットフォームの提供や投資の呼び込みなどをまとめた。

報告書案では地域住民や町内会など地縁組織、NPO、企業、地方自治体といったところを共助による地域づくりを支える担い手と想定。地域住民はなかなかボランティアへの参加や寄付は進まず、少子高齢化や住民意識の変化で活動の停滞を迎えつつあるほか、NPOの資金や人材の不足といった課題を指摘した。

そのうえで今後の取り組みとして、プラットフォームの提供や社会的インパクト投資の推進などが挙げられた。住民やNPOなど活動団体、企業、地域系金融機関や自治体など人材や資金、地域資源などを持ち寄り、課題解決のために議論できる場となるプラットフォームづくりを推進する。プラットフォームマネージャーの発掘を自治体や地域系金融機関、大学や企業などの人材から進める。

社会的インパクト投資とは、社会的課題解決と経済的利益を両立させるために行う投資。金融機関や投資家からのほか、2019年に予定されている休眠預金等活用法の運用開始による資金配分も見込む。このほか公園など公共物の活用、空き家などのシェアリング、地域外との人材交流、シンポジウム開催といった担い手のすそ野を広げる取り組みの推進も、今後の施策として挙げられた。

国土計画における共助の考え方については、1987年に国土庁(現・国交省)策定の「第四次全国総合開発」において「多様な主体の参加による国土づくり」という表現で、行政だけでなく地域住民や民間団体の国土づくりへの参加の重要性を指摘。2015年策定の現行の「第二次国土形成計画」でも国土づくりの重要テーマとして「多様な主体による共助社会づくり」が位置づけられている。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介