津波対策に有効な水門の点検や管理について細かい点までまとめた

国土交通省は8日、「海岸保全施設における水門・陸閘(りっこう)等の維持管理マニュアル策定検討委員会」の第5回会合を開催した。津波や高潮対策で重要な水門や陸閘といった施設の管理に関する手引きを、主に堤防や護岸についてまとめている既存の「海岸保全施設維持管理マニュアル」に入れた、同マニュアル改訂のとりまとめを行った。土木構造物と設備部分にわけた点検・評価やライフサイクルコスト算定などを盛り込んだ。

水門・陸閘を支える堤防や護岸を土木構造物とし、設備部分と分ける。設備は動力で開閉したり、複雑な開閉機構を持ったりするような大規模設備を「一般点検設備」、小規模な設備を「簡易点検設備」と設定。一般点検設備は月1回、簡易点検設備は年数回の管理運転点検を行う。土木構造物は年数回の目視によるパトロールや、5年に1回程度の目視と計視による一次・二次点検を実施。津波や高潮といった災害発生後は、開閉操作を行ったりして臨時点検を行う。

評価については設備部分を5ランク、土木構造物を4ランクに分け、両者を組み合わせてA(措置段階)、B(予防保全段階)、C(要監視段階)、D(異常なし)に分類する。Aランクは機能に支障が生じ、補修や更新といった対策が必要。Bランクは機能に支障は生じていないが、進行性があり予防保全のため対策実施が望ましい状態。Cランクは経過の監視が必要としている。

また国交省の研究機関である国土技術政策総合研究所が今年度中に公表予定の「海岸保全施設のライフサイクルコスト算定ツール」を使い、対策費用の算定を行うことも呼びかけ。マイクロソフトの表計算ソフトであるExcel(エクセル)上で動き、計算がしやすくなっている。

国交省では今年度中にマニュアルを最終決定し公表する予定。その後、関係者向けの説明会を行う。マニュアル改訂により検査回数の増加が予測されることから、ドローン活用など効率化の検討も今後行われる見込み。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介