山田局長(左)は「危機管理型水位計」の活用を訴えた

国土交通省は19日、東京都千代田区の全国都市会館で「危機管理型水位計運用協議会」の設立総会を開催した。同省の地方整備局のほか、北海道や京都府、大阪府など31道府県、兵庫県神戸市など11市町を含む53機関が参加。低価格水位計である「危機管理型水位計」を用い、主に地方自治体が管轄する中小河川での観測データをクラウドにより参加機関全てで共有する。

水位計はオーダーメイドであったり、専用回線を敷設する必要があったりなど、設置に数千万円のコストがかかることが多い。このため都道府県や市町村が管理する中小河川での導入が進んでいない。国交省では2017年に横浜市の鳥山川で100万円以下の水位計の実験を行ったほか、検討会を開き「危機管理型水位計」の基準作りを進め、1月に基準をまとめた。

水位計は通信機能を持ち、クラウドを活用した全国統一システムへ観測データ送信を行う。6月から本格運用を予定している。総会に出席した国交省水管理・国土保全局の山田邦博局長は2016年の台風10号による岩手県の小本川での被害や、2017年の九州北部豪雨を例に挙げ、「十分な水位情報が不足していた。特に中小河川は重要だった」と振り返った。そのうえで「これまでは整備費用の問題もあり、水位計活用になかなか至らなかった。今回、維持管理コストも削減できたので、ぜひ活用してほしい」とした。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介