2016/10/23
誌面情報 vol51
「事業所に入る前にアルコール洗浄」という光景は、最近珍しくなくなってきている。インフルエンザなどのウイルスを除去するためには、アルコール消毒は有効な手段の1つだ。しかし、「アルコール洗浄しているからウイルス対策は大丈夫」と考えるのは間違いだ。最も大切なことは「石けんで、適切なタイミングで、正しい方法で」手洗いを行うことだ。家庭でも事業所でも使える「正しい手洗いの基礎」とは?
編集部注:「リスク対策.com」本誌2015年9月25日号(Vol.51)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです。(2016年10月23日)
「インフルエンザなどの感染症対策には、もちろんアルコール洗浄も大切だが、最も重要なのは通常の石けんによる丁寧な「手洗い」と「換気」だ。アメリカで報告された学会のデータによると、手洗いを水洗いだけのグループと、石けんを使ったグループに分けたところ、水洗いだけのグループは石けんを使ったグループの3倍の人が風邪や肺炎にかかったというデータが出ている」
と話すのは慈恵医科大学分子疫学研究室室長の浦島充佳医学博士。「最近、アルコール消毒は定着しているようだが、肝心の石けんによる基本的な手洗いができていなければ意味がない」とする。では、なぜ石けんの手洗いが風邪予防に有効なのだろうか。
適切なタイミングで、正しい方法で
そもそも石けんとは、どのようなものなのだろうか?
洗剤、石けん、歯磨きなどを手がける大手メーカーライオン株式会社のヘルスケアマイスター山岸理恵子氏は、「石けんの歴史は古く、約5000年前にはシュメール人が使用していたとされています。一説によると羊を焼いた時に出る脂と灰が混ざり合い、自然にできたものが洗浄に利用されるようになったと言われます」と話す。
石けんとは、主に動植物の油脂から製造される界面活性剤の一種だ。水になじみやすい親水基と、油と馴染みやすい親油基で構成され、汚れの成分である油に馴染むと同時に、親水基が水と結びつき、汚れを包んだような形で浮かして洗い流す(図1)。界面活性剤とは、油と水をなじませる役割を果たすもの全般を指し、自然界にも存在する。マヨネーズやチョコレートなどにも含まれているという。
誌面情報 vol51の他の記事
- マスクの基礎知識 フィットテストを怠るな!
- うがいの基礎知識 ガラガラってする?声を出す??
- BCP担当者が最低限おさえておきたいインフルエンザ特措法
- 手洗いの基礎 アルコール洗浄だけでいいと思っていませんか?
- 講演録_01 2015年7月17日開催セミナー 想定を超えたスーパー台風に企業はどう備える?
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方