汗などは水で流し落すことができるが、皮脂などの油性の汚れは、水だけで洗い落とすことはできない。石けんのような界面活性剤は、皮脂などの汚れとともに、ウイルスや細菌などの病原体を皮膚からはがれやすくする効果がある。 

ではなぜ、インフルエンザ対策に手洗いが有効なのだろうか。インフルエンザウイルスは基本的に飛沫感染で人から人に移ることが多いと言われている。

しかし、ウイルスがモノに付着した場合、それを触ってしまい、その手を洗わずに目をこするなど、人間の粘膜に触れてしまえば接触感染する。ウイルスの付着した手でモノを食べることも同様だ。

人間の体の中で、病原体が付着するモノを触る可能性が高く、それを体の中に取り入れてしまう経路としての可能性の高い「手」を適切に洗うだけで、インフルエンザなど感染源対策としては非常に有効な手段になるのだ。さらに、最近の研究では石けんに大腸菌の殺菌効果があることもわかってきているという(図2)。

では、どのような時に手洗いをすることが効果的なのだろうか。山岸氏によると、「洗い過ぎも良くない」という。病原体に対する耐性がなくなったり、必要な皮脂までを傷つけてしまうと手荒れの原因にもなったりする。山岸氏は「ぜひ手洗いはタイミングで習慣化してほしい」としている。山岸氏が習慣化してほしいと語るタイミングは以下だ。