日本企業と従業員の海外でのサポートについて語ったアタウェイ社長

いざとなればチャーター機も

世界90カ国に1000カ所の拠点を持ち、1万1000人以上のスタッフがいるインターナショナルSOS。日本では1996年から事業を展開。海外に進出する日本企業に対し医療や渡航安全管理対策といった手厚い支援を行っている。

「私たちの事業は企業のビジネスレジリエンスを向上させるもの。海外への出張者や駐在員に対し、安全対策や医療サービスを提供することで、リスクの予防と軽減を行っていく」とインターナショナルSOSジャパンのマーク・アタウェイ社長は語る。世界90カ国の拠点から、世界約1万社、約250の政府・国際機関に支援サービスを提供。日本では「日経225企業の半数程度は何らかのサービスを利用している」他、商社や製造業など幅広い業態・規模の企業で同社のサービスは使われているとアタウェイ社長。

同社は世界中に拠点を置いているが、特に26カ所のアシスタンスセンターでは24時間365日、99カ国語で対応を行っている。会員の電話相談は無料。1400人の医師と200人のセキュリティスペシャリストが海外医療と渡航安全のアドバイスを実施。医療関連を始め、航空やセキュリティなど7万もの認定サービスプロバイダーとの提携で、国際医療・セキュリティネットワークを構築。緊急時には状況に即し最適なチームが搬送・救援のため動くようになっている。

安全対策では「月800通程度送られる日本語アラートメールは好評」(アタウェイ社長)という。顧客企業の従業員が海外に赴任や出張の前には安全講習を実施。赴任先・出張先の危険性の説明、銃や最近多いトラックを使ったテロなど緊急事態に遭遇した際の対応など、「日本と赴任先はとにかく違うということを意識付けしてもらう」とインターナショナルSOS&コントロール・リスクスリージョナルセキュリティマネージャーの黒木康正氏は語る。また、同社ではオンラインソリューションとして「トラベルトラッカー」と題した渡航リスク管理システムも提供。前述のメールによるアラート機能や、顧客企業と社員との連絡機能、モバイル端末によるチェックインを行うことによる追跡機能も備える。

黒木氏によると欧州はシリアやイラクといった、いわゆるイスラム国からの帰還者も増え、単発のテロのリスクが懸念される。さらに2017年はミサイル発射や核実験を繰り返す北朝鮮の行動の影響から「韓国に関する相談は多かった。いざという時にどういう判断で、どうやって引き上げるか、避難計画策定支援も行っている」と黒木氏は説明。インターナショナルSOSでは世界最大手のリスクコンサルティング会社であるコントロール・リスクスと提携。サービスプロバイダーと連携し、危機時のチャーター機手配まで行える体制を整えている。