厚労省、経産省、消防庁の3省庁はコンビナート地域の「リスクアセスメント良好事例集」を公表した(写真出典:写真AC)

厚生労働省、経済産業省、消防庁の3省庁は26日、死者や重傷者など重大事故が引き続き発生している全国の石油化学工業団地(コンビナート)の安全性向上をめざして、コンビナート内でリスクアセスメントを通じて安全施策に取り組んでいる企業取り組みを調査した「リスクアセスメント良好事例集」を共同で公表した。重大事故が継続的に発生している全国15カ所の石油コンビナート地域内での安全策のノウハウを共有してもらうほか、域外の全業種でリスクアセスメントの重要性を啓発する。

産業事故の件数は近年減少傾向にある一方、死亡や重傷病に至る重大事故は引き続き発生している。2012年の石油コンビナートでの事故件数は248件、2013年の化学物質の爆発、火災、破裂に伴う死傷者は死者2人含む14人となっている。経産省は消防庁、厚労省と連携して2014年7月に「石油コンビナート等災害防止3省連絡会議」を立ち上げ、重大事故防止に向けた取り組みを行ってきた。事業所において重大事故発生の危険源を把握し、災害シナリオに応じた対策を講じる「リスクアセスメント」をこの解決策の一つとして位置付け、コンンビナート地域において、リスクアセスメントを効果的・積極的に行っている27社にヒアリングを行い、承諾を得た22社の事例を公表した。

事例集ではヒアリングをもとに、リスクアセスメントの9つ成功要因と、8つのメリットを分析し、各要素ごとにそれぞれ各社の具体策を整理して紹介している。成功要因では、「経営者らのコミットメント」(14社)、「複数の関係部署の連携」(13社)、「現場に根付いた社内基準の作成」(11社)、「他社事例・マニュアルなど先行事例の活用」・「教育体制の整備・充実」(ともに9社)などを挙げる企業が多かった。メリットについては、「現場作業員の教育(ベテランの技術伝承の良い機会になる)」(14社)、「重大事故の可能性の低減」(13社)、「プロセス・物質など自社危険業務への理解」(11社)、「安全性の精緻化」(9社)などの成果を上げる企業が多かった。

22社の業種内訳は、以下の通り。石油化学8社、石油精製・一般化学・倉庫が各3社、ガス・発電が各2社、食品1社。

■ニュースリリースはこちら
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000198654.html 
(厚労省)

http://www.meti.go.jp/press/2017/03/20180326001/20180326001.html(経産省)

http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h30/03/300326_houdou_1.pdf (消防庁)

■厚生労働省が公開しているリスクアセスメント関連資料・教材一覧はこちら
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei14/

(了)

リスク対策.com:峰田 慎二