2018/04/13
防災・危機管理ニュース
内閣府を中心とした政府の中央防災会議は12日、「南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応ワーキンググループ(WG)」の第1回会合を開催した。南海トラフ沿いで異常が起こった場合の避難など対応や社会的な仕組み作りの基本的な考え方について、年内にとりまとめを行う。南海トラフ東側で地震が発生した場合などに30分程度で臨時情報を発表するなど、現時点で想定できる状況を示した。
中央防災会議では2017年に、1978年に制定された大規模地震対策特別措置法(大震法)で前提となっている地震の直前予知は現時点で困難と結論づけた。そのため、この新たWGで、南海トラフで地震が起こった場合の避難などの対応のほか、企業や地方自治体といった各主体があらかじめ計画を準備しておくことや、万が一の際に一斉に取り組みを開始できるようにする仕組み作りの考え方を示す。
南海トラフ沿いでの異常は主に(1)南海トラフの東側だけでM(マグニチュード)8クラスの大規模地震が発生(2)大規模地震よりは一回り小さい7クラスの地震が南海トラフ沿いで発生(3)東海地震の判定基準とされるようなプレート境界面でのすべりが発生した場合―を想定している。これらの異常が起これば、30分程度で気象庁が南海トラフ地震の第1報を発表。最短2時間程度で今後のさらなる地震の可能性など続報が発表される。
例えば(1)のケースでは過去の事例から、西側でも同規模の地震が発生する可能性がある。地震の発生した東側だけでなく、西側も津波に対する危険性の高い住民は、数日から1週間程度の避難が必要となる模様だ。現在、静岡県、高知県のほか愛知県を中心とした中部経済界のエリアでモデル地区を設置。これらの地域で津波対応やワークショップ、企業へのヒアリングなど新たな取り組みを検討・実施している。
WG主査を務める福和伸夫・名古屋大学教授は「ていねいに検討する一方で具体的な方向性を少しでも早くまとめるのも課題。大まかな方向性だけでも早く出したい」と冒頭に説明した。会合後の取材に対し「(地震の)情報が出た時に社会全体が混乱しないため、ある程度統一的な行動が必要。一方で地域による多様性もある」とし、国として方針を示し、地方も主体性を持って取り組むことが重要とした。そして「(結論を)ずっと待っているわけにはいかない。少なくとも基本的な考え方を年内にとりまとめる」と説明した。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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