NISCは重要インフラがサイバー攻撃を受けた際の影響の深刻度をあらわす評価基準案を策定。11日からパブコメを募集している(出典:NISC資料)

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、サイバー攻撃により重要インフラサービスに障害が起こった際に、社会全体に及ぼす影響の深刻度を5段階で評価する基準案を策定。11日からパブリックコメントの募集を開始した。5月17日まで募集する。将来的には攻撃を受けた際に、障害の深刻度を予測評価して、政府や関係者が冷静な対応行動をとる判断基準とする。

重要インフラとは、国民生活や社会経済活動の基盤となり、安定的に提供できなくなった場合に、社会全体に大きな影響を及ぼすおそれが生じる事業サービス。政府は情報通信、金融、航空、鉄道、電力、ガス、政府・行政、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油の13分野を特定し、2000年から具体的な行動計画を定めて防護体制構築を進めている。今回は2017年4月に決定した「重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第4次行動計画」の一環として、評価基準の策定を行っている。

評価基準では、サービス障害が社会に与える影響の深刻さを「レベル0(影響なし)」から「レベル4(著しく深刻な影響)」の5段階を設けた。サービス自体の持続性、サービス障害によって起こる人・物・周辺環境への安全性、将来的なサービスの信頼低下、の3つの視点でそれぞれ5段階評価し、そのうち最も深刻度の高い値を総合評価とする。この手法は米国政府が2016年から採用する「サイバーインシデント深刻度判断基準(Cyber Incident severity schema)」の枠組みに基づいているという。

サイバー攻撃は実社会では可視化されにい。このため攻撃を受けてから実際にサービス障害が起きるまでの間は、政府や社会全体が障害の深刻さを適切に把握できず、リスクを過小評価して対処行動が遅れたり、逆に過大評価して混乱を招く恐れがある。今回評価基準として統一の指標をもつことで、万一の事態に社会全体でその深刻さについて即座に共通の理解をもち、適切な対処行動をとれる。

今回はサービス障害が発生した後に、国民社会に与えた影響の深刻さを事後評価するための評価基準としているが、将来はこの基準を事案が発生した時点で社会への影響度を予測評価に活用。政府や事業者、国民が冷静に対処行動をとるための判断基準にする。

■ニュースリリースはこちら
https://www.nisc.go.jp/active/infra/pubcom_shinkokudo.html

(了)

リスク対策.com:峰田 慎二