23区の3分の1が最悪浸水する想定が盛り込まれる都水防計画改訂案を承認した

東京都は16日、水防協議会を開催。東京都水防計画の改訂について承認した。防災情報の提供として23区の3分の1にあたる約212km2が最悪浸水するという3月30日に都が発表した高潮浸水想定区域図が盛り込まれた。

高潮浸水想定区域図は1934年の室戸台風級の中心気圧910hPa(へクトパスカル)という、これまで日本に来た最悪の台風襲来を想定。浸水は千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区の17区にも及ぶ。今後、都の浸水区域図に基づき、高潮特別警戒水位の設定を検討。水位周知海岸および浸水想定区域の指定を行う。

また防災情報の提供では神田川、善福寺川、妙正寺川の浸水想定区域図の更新も行われた。想定降雨を最大規模に引き上げたことから、総雨量は従来の589mmから690mmに、時間最大雨量は114mmから153mmにそれぞれ変更した。洪水予報と水位周知の関係区市の変更はない。今後も順次、都内全ての洪水予報河川、水位周知河川を対象に浸水想定区域図を改定して公表していく方針。

2017年に改正された水防法への対応として、大規模氾濫減災協議会制度の創設が盛り込まれたことから、都が同年12月に「東京都管理河川の氾濫に関する減災協議会」を設置したことも都水防計画で紹介。同減災協議会では都管理河川の水害への取り組み方針を策定。島しょ部以外の区市町村長や都の関係各局以外に、国土交通省など国の関係機関も構成員となっている。6月に同減災協議会の会合を開催する予定。

都では高潮浸水想定区域図を活用した高潮特別警戒水位の設定などについて、建設局、港湾局、総務局、下水道局といった関係各局を交えた委員会で協議し、避難計画にも生かしていく予定。

長谷川明副知事は高潮浸水想定区域図の策定以外に、時間100mmの局地的かつ短時間の集中豪雨にも効果を発揮する「環状七号線地下広域調節池」をはじめ、新たな方針に対応する7つの調節池などの整備を本格化させていることを紹介。「ハード・ソフト両面から対策を推進し、全力で災害対策に取り組む」と説明した。

■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/04/16/15.html

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介