安否情報の収集などに課題

本誌では、組織の危機管理担当者らに対して、海外へ出張・渡航、あるいは駐在する従業員の安全対策について、懸念されるリスクと、組織としての現状の対策をアンケート調査した。その結果、交通機関の事故に次いで、テロや感染症など幅広いリスクを心配する組織が多く、マニュアルなどの整備なども進んでいる傾向が明らかになった。一方で、出張・赴任者の安否確認や、現地の安全情報の収集・分析などに課題を抱えている組織が多いこともわかった。

海外で従業員が遭遇する心配があるリスクは?

アンケートは、海外に拠点を持つ組織と、拠点がない組織の回答を分けて集計した。その結果、「海外で従業員が遭遇する心配があるリスクは何か」との質問に対しては、「海外に拠点を持つ組織」の回答傾向は、「飛行機、自動車、船舶、列車など交通機関による事故」(89.3%)が最も高く、次いでテロ(87.3%)、感染症(85.2%)、地震、風水害などの天災(78.5%)、ケガ・病気(75.8%)なども僅差で続いた。その他の項目でも50%を超えるものが多かった(グラフ1)。

一方、「海外に拠点を持たない組織」についても、やはり交通機関の事故(73.3%)や、テロ(64.4%)、ケガ・病気(64.4%)に関する心配が高いものの、海外に拠点を持つ組織と比べると全体に心配の割合が低い傾向が明らかになった。「特に心配はない」との回答もあった(グラフ2)。

また、従業員の海外渡航・出張の割合が「月数回〜毎日」と高い頻度の組織と、「ほとんどない、年数回程度」の低い頻度の組織を比較したところ、頻度が高い組織は、テロ(91.2%)への懸念が最多となり、次いで交通機関による事故(89.2%)、感染症(87.8%)と順位が入れ替わった。頻度が低い組織は、テロへの心配は59.2%にとどまった。海外拠点の有無や渡航頻度により、海外リスクの受け止め方に差があることがわかった。

 アンケート調査は、本誌の読者、メールマガジン購読者、および2016年2月12日に本誌が開催した海外進出リスク対策セミナーの参加者らを対象に行い196人からの回答を得た。内訳は、上場企業が50%、非上場企業が37.8%、自治体やその他団体が8.2%、個人が2.6%など。海外拠点の有無については、「6カ国以上にある」が51%で「1〜5カ国にある」が25%、「海外拠点はない」が23%だった。


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