プラカードを持った係員(左下)の誘導で観客が避難。右奥の都響も演奏を中止

東京都の監理団体である東京都歴史文化財団が管理する東京文化会館(台東区)と東京都交響楽団(都響)は7日、同会館で避難体験コンサートを実施した。観客が避難訓練に参加するもので、同会館でも都響でも初めての取り組み。2020年東京オリンピック・パラリンピックを見すえ、集客イベントでの安全性向上のため実施したという。

この日は620人の観客が参加。発災のタイミングは知らせないで進行した。都響のクラシック演奏中に地鳴りの音響が鳴らされた。その後に東京湾北部を震源地とした震度5強の地震の発生や、建物の耐震性に問題がないこと、後続の地震に備え頭を守る必要性などをアナウンスした。さらに地下1階のレストラン厨房から出火したという想定で、英語も交えたプラカードを持った係員の誘導でロビーに避難した。東京文化会館では年2回程度避難訓練を実施するが、スタッフのみで行っており、観客を避難させるのは今回が初めてという。

東京消防庁のVR防災体験車を屋外に設置

今回の訓練には東京消防庁・上野消防署が協力。同署の大谷正明・予防課長は東京文化会館の観客を落ち着かせるアナウンスやスムーズな誘導を評価。「本番さながらの沈着冷静な避難ができた」と述べた。また、「首都直下地震はいつ起こるかわからない。備蓄や家具の固定について各家庭で話し合ってほしい」と呼びかけた。この日は会館の隣に東京消防庁のVR防災体験車や煙体験ハウス、模擬消火器による消火訓練コーナーが設置され、防災への備えの重要性がPRされた。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介