2017年ラマダン中の5月22日に起きた英国マンチェスター・アリーナにおける自爆テロ事件の追悼集会にて(同年6月3日撮影、出典:flickr)

外務省は、イスラム教のラマダンとラマダン明け3日間の祭り(イード)にあたる15日ごろから6月17日ごろにかけて過去に世界中で多くのテロ事件が発生しているのを受けて7日、注意喚起情報を発表した。同省は出張・旅行などで海外を訪れる邦人に対して海外滞在先の緊急情報や安全情報をメールで受け取れる「たびレジ」などで最新の関連情報の入手に務めることや、テロの標的になりやすいリゾート施設や各種イベント会場など、人の集まる場所を訪れる際に安全確保に十分注意するよう促している。

ラマダンはイスラム教徒が日の出から日没まで断食を行う期間。その後ラマダン明けには3日程度イードと呼ばれる祭りが行われる。イスラム教徒にとって「聖なる月」とされ、2014年以降活動が活発化しているISIL(アイシル:イラク・レバントのイスラム国)などが過去にラマダンにテロを呼びかける声明を出しており、近年この時期に世界中でテロ事件が多く発生している。

ラマダンは目視による月齢観測によるため直前に変更される可能性もあるが、今年のラマダンは15日ごろから6月14日ごろ、その後のイードが6月15日ごろから同17日ごろとされる。特に金曜日はイスラム教徒の集団礼拝日となるため、モスク等の宗教施設や群衆を狙ったテロや襲撃が起こりやすい。今年は5月18日と同25日、6月1日と同8日が金曜日にあたる。

最近では爆弾や銃撃だけでなく、車両やナイフなどを使用して不特定多数を殺傷するテロが呼びかけられているという。外務省は、観光施設や観光地周辺の道路、記念日・祝祭日などのイベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、スーパーマーケット、ナイトクラブ、映画館など、人が多く集まりテロの標的になりやすい場所に行く際は、周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れ、できるだけ滞在時間を短くする等など安全確保に十分注意を払うよう促している。

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https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2018C069.html#ad-image-0

(了)

リスク対策.com:峰田 慎二