今年末の次期計画決定へ脆弱性評価などを話し合った

内閣官房は21日、「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」の第42回会合を開催。今年末に予定されている次期国土強靭化基本計画の決定に向け、脆弱性評価の指針や「国土強靭化アクションプラン2018」の素案も示された。脆弱性評価とアクションプラン2018は近く政府の国土強靭化推進本部で決定の見込み。

脆弱性評価の指針では8つの「事前に備えるべき目標」とそれを妨げる45の「起きてはならない最悪の事態」を設定。8つの目標は(1)直接死を最大限防ぐ(2)救急や医療の迅速化と被災者の健康や避難生活環境の確保(3)行政機能確保(4)情報通信機能・サービスの確保(5)経済活動を機能不全にしない(6)ライフラインや燃料供給関連施設、交通ネットワークなどの被害最小限化と早期復旧(7)制御不能な複合災害・二次災害を発生させない(8)社会・経済の迅速かつ従前より強靭な姿で復興できる条件整備―を設定。

45の起きてはいけない最悪の事態は建物の大規模倒壊による多数の死傷者の発生や、食料等の安定供給の停滞といったものが想定されている。この事態を生む要因を、フローチャートを用いて分析。広く悪影響をもたらすものの解決に必要なものを「戦略的政策課題」として抽出。7月の次回懇談会でこの課題の検討を行う。

アクションプランは5カ年計画である国土強靭化基本計画の推進へ、毎年策定されるもの。取り組むべき具体的な個別施策などを示している。「2018」の素案では現計画下での最後ともなるため、特に進捗管理を重視。現計画下での45の起きてはならない最悪の事態のうち、45プログラム中34プログラムにおいて進捗率は8割を超えている。また、重要業績指数(KPI)を設定した115指数のうち31指標で目標を達成。着実な実行を図っていく。

また、国土強靭化地域計画策定ガイドラインの第5版の策定について報告が行われた。地方自治体向けの地域計画策定ガイドであり、今回の改訂で(1)基本編(2)策定・改訂編(3)資料編の3つに分冊。全47都道府県のうち45都道府県が策定済み、沖縄県と福井県が策定中・予定ありに、市区町村では78市区町村が策定済み、50市町村が策定中・予定ありとなっている。進行にばらつきがあることから、分冊化し、自分たちの立ち位置に合わせて選べるようにした。また、取り組み状況がわかりやすいチェックシートや、関係府省庁の交付金・補助金の活用事例も掲載している。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介