小此木担当相(右から6人目)は高知県の尾崎知事(左隣)から提言書を受け取った。右隣は愛知県の大村知事

高知県の尾崎正直知事と愛知県の大村秀章知事は28日、両県と静岡県、三重県、和歌山県、徳島県、香川県、愛媛県、大分県、宮崎県で構成する「南海トラフ地震による超広域災害への備えを強力に進める10県知事会議」を代表して内閣府を訪れ、小此木八郎・防災担当大臣に政策提言書を手渡した。南海トラフ地震・津波対策の住宅耐震化の抜本強化など13項目を要望した。

財源確保では2015を最後に全国防災事業が終了し、全国防災事業と緊急防災・事業費の合計は2015年度に9391億円あったものが2016年度には46.7%減の5000億円に急減。今後のさらなる対策のためにも、新たな財政支援制度の創設を訴えた。

住宅耐震化については、今年度に物件あたり100万円の補助も可能となった。例えば高知県での試算では4500棟の住宅耐震改修を行わず被災した場合の公費支出は約360億円、補助を行って耐震改修した場合は補助費を含めても約252億円にとどめることができる。さらなる耐震化への注力を訴えた。また、南海トラフ地震対策特別措置法に基づく「南海トラフ地震避難対策特別強化地域」に指定されていないゼロメートル地帯での、対策支援強化なども盛り込んでいる。

面会後に取材に応じた尾崎知事は「来年度に向けての予算確保と個別の課題事項を(小此木担当相に)伝えた」と説明。大村知事は「愛知県はじめ三大都市圏にはゼロメートル地帯が広がっている。河川・海岸堤防の強化も訴えた」と述べた。静岡県のほか高知県と愛知県を中心とした中部経済圏で南海トラフ地震対応のモデル地区が設定されている件については、尾崎知事は「市町村と協力し、高知県版ガイドラインを作る。国のガイドラインができたら改訂で対応したい。市町村にせよ都道府県にせよ統一的対応が必要だ」と語った。

さらに2017年11月から南海トラフ沿いで異常があった時に気象庁から臨時情報が出されるようになったが、その際の対応については、尾崎知事は「モデル地区でも対応の話は出ている。10県知事会議でより具体的議論ができればまた提言できる」とした。大村知事は「中部経済界で減災対応や復旧、BCP(事業継続計画)に取り組んでいる。10県で連携し、国とも議論して共通の認識で活動したい」と述べた。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介