実名公表が注目された緊急輸送道路沿道建築物の耐震化のさらなる取り組みを示した

東京都は5月31日、「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けた更なる促進策について」を発表した。災害時に輸送上重要で、建物倒壊による閉塞を防がないといけない特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化促進について、2017年1月から今年3月まで7回開かれた検討会の報告書。耐震性を満たさない建物の公表のほか、賃貸物件の賃借人の移転費用など経費支援の仕組みづくりの検討も盛り込まれた。

都内の沿道建築物は1万8453棟で、2017年12月末時点での耐震化率は83.8%。耐震性が不足している建築物は2852棟、未診断が141棟ある。都が耐震性を満たしていない建物所有者を対象に2016年度に行ったアンケート調査でも53.5%が「耐震改修等を実施しない」と回答するなど、費用面などがネックでなかなか進まない現状がある。

促進策では耐震診断を行ったが、改修など施策に着手していない建築物を公表する方針を盛り込んだ。都は検討会最後の会合が行われた翌日の3月29日、緊急輸送道路沿道建築物のほか、1万m2以上の不特定多数が利用する大型建築物も耐震診断結果の実名公表に踏み切っている。しかし今後も耐震化の経過を示していくほか、区市による発表も見込まれることから、これらとも連携していく。

また賃貸建築物においては賃借人など占有者が移転しないと耐震化が進まないケースも多い。占有者の協力を引き出すため、移転を伴う改修工事の場合は移転費用や移転先の家賃といった経費の一部を補助できる仕組みづくりの検討も盛り込まれた。

■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/05/31/17.html

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(了)