計画の作成にあたっては、ボトムアップ型を推進しているのも特徴です。「地区居住者等により自発的に行われる防災活動に関する計画であり、地区居住者等の意向が強く反映されたボトムアップ型の計画」であることを明記し、地区居住者等による計画提案制度が採用されています。

計画は都市部のような人口密集地をはじめとして、郊外、海側、山川、豪雪地帯、島しょ部などあらゆる地区を対象とし、各地区の特性(自然特性・社会特性)や想定される災害に応じて、多様な形態をとれるように設計されています。

地区防災計画の策定方法は、基本的に自由です。ただし、計画には、地区における過去の災害事例を踏まえ、想定される災害について検討を行い、活動主体の目的やレベルに合わせて地区の特性に応じた項目を計画に盛り込むことが重要としています。活動事例として「平常時」「発災直前」「災害時」「復旧・復興期」の各段階で想定される防災活動の整理を挙げ、行政や学識経験者のほかに消防団、各種地域団体、ボランティアなどとの連携を視野に入れることも推奨しています(図4参照)。また、作成の基本方針は「地域防災力を高め、地域コミュニティを維持・活性化することにある」とし、「災害時に、誰が、何を、どのようにすべきか」を具体的に挙げることが重要であるとしています。

計画策定の流れと実践・検証

地区防災計画を地域防災計画に規定する方法は、市町村防災会議が地域の意向を踏まえ、地域コミュニティにおける防災計画を地区防災計画として市町村地域防災計画に規定する場合と、地区居住者等が、地区防災計画の素案を作成し、市町村防災会議に対して提案を行い、その提案を受けて、市町村防災会議が市町村地域防災計画に地区防災計画を定める場合の2つがあります。計画提案の主体は、実際に防災活動を行う地区居住者等の他に、自主防災組織等において、計画に基づく防災活動についてメンバーの理解が十分に得られ、実際に実施できる体制にある場合には、それらの自主防災組織等の役員等でも可能です。

計画策定後は、計画に沿った防災訓練の実施のほか、地区居住者等の防災意識を向上させて災害に対応できる人材を育成するため、クロスロードゲーム、防災運動会、DIG(災害図上訓練)、HUG(避難所運営ゲーム)等の普及啓発活動や小中学生に対する防災教育の実施を推奨すると同時に、防災訓練の検証結果を踏まえた地区防災計画 の見直しと、継続的な取り組みが重要としています。