被災状況を確認する

復旧で最初に行うのが被害状況の確認。その際、何がどう被災したのかを撮影して記録として残しておいた方がいい。その上で、それぞれについて、どの程度の復旧費用・復旧時間が必要になるかをメーカーや建設会社などに問い合わせながら確認をしていく。BCPをあらかじめ策定している企業なら、取引先などをあらかじめ整理しているため連絡はスムーズに行えるはずだが、BCPを策定していなければ業者を調べながら連絡を取ることになる。もちろん、火災保険(水災特約付)に加入していれば、保険会社にも連絡をして、保険の手続きを進める。

復旧の優先順位を決める

復旧にあたっては、まず、何の事業から優先的に再開するのかを決めることが重要になる。インフラが大きく被災し、社員も十分集まらない中では、すべての事業を同時に再開させるのは難しいためだ。これも、BCPを策定している企業は、あらかじめ「重要業務」として決めているはずだが、それでも、実際には、重要業務を決めていたとしても、その時々の状況に応じて、何の事業から再開するかは顧客の要望や需要により異なり、計画通りにはいかないことも想定されるため、改めて見直してみることが必要になる。

BCPを策定していない企業でも、顧客への影響、社会的な影響、市場への影響、あるは法規制による制約などを鑑みながら、どの事業を優先的に再開させるかを決定することになる。

例えば、先のオイルプラントナトリは、東日本大震災時、ガソリンや重油が社会全体的に不足していたことから、重油再生業務を優先して復旧させ、それ以外のプラスチック再生事業や研究事業などは停止させた。

現地での復旧か代替生産かを決める

事業再開にあたってもう1つ重要になるのが、事業再開の具体的な方法を決定することだ。BCPの策定では、自社が事業不能に陥った事態を想定し、現地での早期復旧、あるいは別の場所での代替生産など、いくつかの事業継続方法を考え準備しておく作業がある。が、BCPを策定してない企業なら、その場で復旧方法を決めて取り組むことになる。

仮に代替生産方法を決めていないとしても、協力会社などで自社の代わりに製品を製造してくれるような企業があれば、現地が被災した状況でも事業を継続させることは可能だ。例えば建設会社や工務店で自社が被災してしまっても、協力会社から重機などを借りて、顧客対応にあたることは理論的には可能になる。先に紹介したオイルプラントナトリは、自社での重油再生処理ができなくなったため、その業務を県外の同業者に委託した。