この猛暑は災害である
2010年には1700人が死亡 企業の対策も急務
中澤 幸介
平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト「平成25年度事業継続マネジメントを 通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務」アドバイザー、「平成26年度地区防災計画アドバイ ザリーボード」。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」がある。
2018/07/24
危機管理の要諦
中澤 幸介
平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト「平成25年度事業継続マネジメントを 通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務」アドバイザー、「平成26年度地区防災計画アドバイ ザリーボード」。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」がある。
全国各地で、熱中症によると見られる死者が相次いでいる。7月に入って都内だけでも30人以上が死亡したというニュースも報じられているが、実は、熱中症による死亡者は年間1000人を超えることもある。
厚生労働省が発表している人口動態統計によると、過去に最も熱中症による死亡者が多かったのは2010年で1731人にのぼる。この年の月別の熱中症の死者を見ると、7月だけで657人、8月には実に765人が熱中症で死亡していたことがわかる。さらに、2011年は948人、2012年727人、2013年1077人、2014年529人、2015年968人と推移している。65歳以上が8割近く占めるが40~50代も多い。
ちなみに、一般的にニュースで報じられている熱中症による死亡者数は、報道機関が独自に調査したものか、消防庁が発表している数字で、いずれも緊急搬送され「初診時において熱中症による死亡が確認され人」の数値が使われることが多い。一方、厚生労働省の人口動態統計は、最終的に死亡が確定した段階で医師が死亡診断書に、死因を熱中症と記載した人の数<ICD-10(国際疾病分類第10版)におけるX30(自然の過度の高温への曝露)を死因とするもの>であり、より正確な数字となっている。ところが、死亡診断書の作成には時間がかかり厚生労働省から概算が発表されるまでには半年程度がかかるため、この数字がメディアを通じて一般に知られることはあまりない。
ただし、過去の両者のデータを比較してみると、その数字は数倍~10倍近くも異なることがわかる。例えば、2010年、総務省消防庁が発表した熱中症による死亡者は、7月が95人で8月が62人と、厚生労働省が発表した数字の10分の1程度の数だった。
こうした傾向からすると、今年7月以降の緊急搬送件数は例年を大幅に上回っており、最終的な死者が過去最悪になることも懸念される。
危機管理の要諦の他の記事
おすすめ記事
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方