KDDIは3月8日(金)、東京湾北部を震源地とする首都圏直下型地震が発生し、東京23区を中心に多くの地域で震度7の揺れを観測し、携帯電話通信が困難な状況になったことを想定したBCP訓練を実施した。

 
 

■目的:全国13カ所あるKDDIテクニカルセンターがそれぞれの訓練で積み上げてきた運用ノウハウの共有と、さらなる技術力向上を図る

■実施日時:平成25年3月8日(金) 

■実施場所:東京臨海広域防災公園(そなエリア東京)

■災害想定:東京湾北部を震源地とする首都圏直下型地震が発生し、東京23区を中心に多くの地域で震度7の揺れを観測。通信各社は基地局を中心に広範囲に被害を受け、携帯電話通信は困難な状況に。早急な通信確保をするべく政府と東京都から、①政府の防災拠点となる有明の東京臨海広域防災公園、②練馬区役所、③品川区役所に対する通信確保要請を受けた。

■主な訓練内容:被災地に出動して携帯通信網復旧を行う移動型基地局・可搬型基地局の設置。
全国に13カ所あるKDDIテクニカルセンター(TC)のうち、金沢TC、高松TC、福岡TC、札幌TCの4チーム16名の携帯電話基地局復旧要員が会場の東京臨海広域防災公園(そなエリア東京)に集結。KDDI技術統括本部 運用本部と副本部の指揮の下、3つの車載型基地局(大型・小型)と1つの可搬型基地局の設置を同時に行った。

 同社の特別通信対策室からの指令が下ると、金沢TCの電波復旧要員3名を乗せたヘリコプターが出動し、現地に基地局設置が可能であることを確認した後、衛星携帯電話イリジウムで特別対策室に報告。これを受け、特別対策室の指示に基づいて、3カ所で3つのTCチームが同時に車載型基地局の設置に着⼿した。

ワンボックスカーやトラックに携帯電話基地局装置と発電機、高さ12メートルも伸びる携帯電話用アンテナ、基地局と局舎を結ぶ衛星通信装置と衛星通信用のパラボナアンテナを搭載。大型車で直径1.5キロメートル、小型車で同1キロメートルの範囲に電波を届けることができる車載型基地局は、がれきや障害物の多い被災地にもスムーズに侵入できるよう、最近ではより小型なものに進化しているという。車載型基地局前には、避難者に対する充電サービスブースも登場。au端末に限らず、他社端末でも充電することができるという。

移動型基地局の設置作業の訓練ではメンバーが常に声を掛け合い、指さし確認をしながら実際の出動に即した手順で行なわれ、わずか20分ほどで3カ所における設置が完了した。

会場では、停電によって機能不全に陥った基地局に電源を供給する移動電源車や、映像伝送用の車載型地球局(ビックシェル)、衛星携帯電話「インマルサットBGAN」等の展示も行なわれた。

東日本大震災で多くの基地局が停波したが、その77%が停電によるものだったという。同社は2009年から太陽光パネルによる発電力、蓄電力と商用電力を組み合わせたトライブリッド基地局や基地局バッテリーの24時間化を推進する一方で、燃料さえあれば発電し続けることが可能な移動電源車を55台・ポータブル発電機を85台保有。災害復旧時には移動型基地局と共に被災地に出動し、大きな働きを担う。