トーマツ企業リスク研究所が調査

有限責任監査法人トーマツでリスクマネジメント等の調査・研究を行っているトーマツ企業リスク研究所は、企業のリスクマネジメントに関する調査(2012年版)結果を公表した。

それによると、リスクマネジメントに関する活動のうち、潜在的リスクを識別・評価する「リスク評価を実施している」と回答した企業(以下、リスク評価実施企業)の割合は4年連続80%以上となった。2010年の89.5%をピークに、2011年85.0%、2012年82.6%と微減傾向となりつつも、高水準を保っている(図表1)。さらに、1年の間のリスクマネジメント体制が「現状維持である」と回答した企業がリスク評価実施企業の80%に上ることから、多くの企業においてリスクマネジメントが定常の業務及び体制として定着していることが明らかになった。

また、リスク評価未実施企業がリスク評価を実施しない要因は、「評価方法不明」(27%)が前回(2011年版)から14%減少している一方、「予算がない」(14%)が7%増加(図表2)。テクニカルな問題は解消されつつあるが、企業業績の低迷が長引く中で、社内におけるリスク評価の優先度が下がり、予算の確保が困難な状況が生じている可能性を示した。

優先すべきリスクは、「海外拠点の運営に係るリスク」と回答した企業が28%と前回に比べ15%増加し、全体で2位、企業規模1000名以上の企業においては1位となった。また、海外関連リスクと関係する「子会社ガバナンスに係るリスク」、「海外取引に係るリスク」はそれぞれ、4%増(13.9%)の全体4位(1,000名以上企業では同率3位)、8%増(12.5%)の全体7位(1,000名以上企業では同率3位)となった。これら海外関連リスクの急増に伴い、その他のリスクは相対的に減少傾向にあるが、「地震・風水害等、災害対策の不備」は前回より5%減の32%となったものの、全体順位は前回に引き続き1位であり、そのリスク認識度は相変らず高い。

調査は2012年に開催したセミナーの出席者(主にリスク管理部門、コンプライアンス部門、内部監査部門の方)に対して実施し、144社から回答を得た。同調査は2002年から始まり、今回で11回目。