災害リスク情報<第51号>

インターリスク総研コンサルティング第三部 
リスクエンジニアリンググループマネジャー・上級コンサルタント 船木明彦

1.はじめに


日本では、夏から秋にかけて台風のシーズンを迎える。台風による被害は、強風による建築物の破損、大雨などによる浸水・洪水等であるが、本レポートでは、台風による風災を中心とした対策を記載する。

2.台風


(1)台風とは
台風とは、熱帯の海上で発生する低気圧(熱帯性低気圧)のうち、北西太平洋に存在する中心付近の最大風速が34ノット(およそ17m/s、風力8)以上のものを指す。

台風は、海水温度が高い海上で発生し、高温の海面からの水蒸気が凝結するときに放出される熱をエネルギーとして発達する。したがって、日本付近に接近するに従い、海水温の低下、上空の寒気、海面との摩擦等の影響により衰える。さらに、上陸すると水蒸気の供給がなくなり、急激に衰える。台風が衰え最大風速が34ノットを下まわると、名称が台風から温帯低気圧あるいは熱帯低気圧となる。

(2)台風の大きさ・強さ
台風の大きさは中心から風速15m/s以上の風が吹くおそれがある距離で、強さは最大風速の大きさで表している。表1に表現方法を示す。

(3)台風の発生・日本への上陸
台風の発生数は、1951年~2012年の62年間で年平均26個であり、最大は1967年の年間39個、最少は2010年の年間14個である。

2001年~2012年の最近12年間では、年平均23個発生しており、台風の発生個数はやや減少しているとみられる。月別ではいずれの期間でも8月をピークとして、9、7、10月と続き、年間発生数の約70%が7月から10月に発生している。日本への上陸数でも発生数と同様に8月が最多であり、以下9、7、10月と続いている。台風の月別発生数・上陸数を表2に示す。