図3:テロを実行した組織トップ10

組織名

事件数

犠牲者数

犠牲者数/1回の攻撃

Taliban

641

2340

3.65

Al-Qa’ida in Iraq/Islamic State of Iraq and the Levant

401

1725

4.30

Boko Haram

213

1589

7.46

Maoists (India)/Communist Party of India – Maoist

203

190

0.94

Al-Shabaab

195

512

2.63

Tehrik-i-Taliban Pakistan (TTP)

134

589

4.40

New People's Army (NPA)

118

88

0.75

Al-Qa’ida in the Arabian Peninsula (AQAP)

84

177

2.11

Revolutionary Armed Forces of Colombia (FARC)

77

45

0.58

Bangsamoro Islamic Freedom Movement (BIFM)

34

23

0.68

・アイマンザワヒリがトップを務め、パキスタンFATAに生き残るアルカイダコアは組織的に弱体化し、数多くのテロ事件を実行できる能力はない。一方、自らアルカイダを名乗るイスラム過激派や目的が一致したときにアルカイダと一定の協力関係を構築するイスラム過激派などは、2012年同様に活発的に行動している。
・最も多くのテロ事件に関与したのはアフガニスタンのタリバンで、全体の20%を占める。一方、1回のテロ事件における犠牲者数というテロの暴力性で比較すれば、ISILやボコハラム、TTPによるそれが高く、特にナイジェリアのボコハラムによるテロの暴力性は非常に高い。
・またテロ事件における暴力性では、イスラム過激派によるそれが高く、インドやフィリピン、コロンビアで活動する非イスラム過激派グループによるそれは低くなっている。
・この表ではフィリピンで活動するNPAとBIFMが入っているが、近年フィリピンにおけるテロは活発化する模様を見せている。しかしテロの暴力性という観点ではそれほど高くない。

図4:テロ実行における手段・方法

・爆弾を使った、特に自爆テロや車爆弾テロ、IED(即席爆破装置)を用いたテロ事件などが特徴的である。アルカイダ系のイスラム過激派によるテロにおいて自爆テロは主要な手段となっている。またタリバンにおいては、治安当局側のメンバーをリクルートしたり、警察のユニフォームを着たりしてテロを実行する、いわゆるインサイダーテロリズムも多い。
・2013年に自爆テロは世界各地で510件発生し、3800人以上が犠牲となっている。人を犠牲にするという暴力性の観点から、自爆テロはそうでないテロの約5倍のパーセンテージで人を死亡に至らせる。
・爆発物を用いたテロは全体の57%を占めるが、2012年は62 %であった。爆発物を用いたテロはシリアやイラク、ロシアカフカス、アフガン、パキスタン、ケニアなどで多い。テロ組織は組織的に弱体化した場合に、身代金目的の誘拐や人質事件など一般犯罪的な行動をとる場合がある。
・爆発物を用いたテロ以外にも、治安当局への襲撃や大物政治家を狙った暗殺事件なども依然として発生している。2012年との比較で、武装した襲撃事件は減少したが、暗殺や誘拐・人質事件は増加している。

図5:テロ事件における標的

Target Type

Number of Targets

Private Citizens & Property

3035

Police

2388

Government (General)

1376

Business

862

Military

621

Religious Figures & Institutions

383

Educational Institutions

354

Terrorists & Non-State Militia

270

Transportation

253

Utilities

244

Journalists & Media

167

Violent Political Party

137

Government (Diplomatic)

102

Telecommunication

68

NGO

51

Other

41

Airports & Airlines

29

Tourists

16

Maritime

11

Food or Water Supply

7

Total

10415

・2013年においては、一般市民や警察が標的となった事件では全体の52.1%を占める。例えばイラクではシーア派を中心とした一般市民が標的となる事例が特徴的で、警察や軍などの治安当局が標的となる事例はアフガニスタンで特に顕著にみられる。
・全体的にやはり、警察や軍、政府関係施設など国内権益を狙った攻撃が多い。
・宗教施設への攻撃は2013年に世界32カ国で発生したが、1回の攻撃における平均犠牲者数は3.1人と非常に暴力性が高い。また2012年と比較して21%増加している。これにはイスラム過激派によるキリスト教系施設への襲撃の増加が背景にあるとみられる。
・またジャーナリスト、メディアへの攻撃も増加している。2013年には世界36カ国で発生している。
・駅や空港、大型施設など多くの人が集まる場所は依然としてテロの標的となりやすい。