日常の生活に欠かせないガス。地震が発生したら事業者はどのように対応するのだろうか?

京阪神地区の都市部を中心として、およそ600万戸に都市ガスを供給する大阪ガス。6月18日に発生した大阪北部地震では一時11万2千戸のガス供給を停止したものの、1995年の阪神・淡路大震災以来培ってきた対応力で一週間後の24日には全戸のガス復旧を可能にした。早期復旧の決め手はなんだったのか。同社の地震対策について取材した。

「大阪ガスの災害時の考え方は、第一に人命優先。ガスが原因の2次災害を絶対に引き起こさないことだ。その次が早期復旧。ライフラインであるガスを一刻も早くお客様に届けること。この両面を考えて、阪神・淡路大震災以来地震対策を講じている」と話すのは大阪ガス広報部長の堀内佐智夫氏。阪神・淡路大震災の時にも、同社で復旧対応にあたっている。

阪神・淡路大震災では神戸市内の激震地を中心にガスも大きな被害を受け、およそ86万戸のガス供給を停止。被災したエリアでは一軒一軒顧客の家を周り、安全を確かめたうえで供給を再開しなければいけない。当時は全国155のガス事業者などから3700人の応援が駆け付け、総勢9700人の人海戦術で作業にあたり、同年4月上旬に復旧を完了した。堀内氏は「阪神・淡路大震災から23年。当時の教訓から、多くの地震対策をとってきたことが今回の復旧の早期化につながった」と話す。

同社では、阪神・淡路大震災の教訓を受け、「予防対策」「緊急対策」「復旧対策」の3段階で災害時の対策を計画している。予防対策では地震による被害を最小限に抑制できる設備のひとつとして、ポリエチレン管の導入を積極的に進めている。「一般的な導管と違い、ポリエチレン管は柔軟性に優れており、災害時に最大600倍まで伸長する。阪神・淡路大震災の時のポリエチレン管の使用延長は1200kmくらいだったが、現在は10倍以上の1万5800kmに達している」(堀内氏)

また、ポリエチレン管以外の導管に関しても地震発生時に弱い部分である「継ぎ目」を強化するなど耐震化を進めたほか、1995年当時に75%だったマイコンメーターの普及率は、家庭用では現在100%に上っている。マイコンメーターは震度5弱相当で作動し、家庭へのガスの供給を止める装置だ。

大阪ガス広報部長の堀内佐智夫氏。手に持っているのがポリエチレン管

11万2千戸のガス復旧のため、5100人で作業

大地震が発生した場合、2次災害防止を目的として、同社は被害の大きな地域のみが供給を停止する「ガス供給停止システム」を構築している。「阪神・淡路大震災の時にも同様のシステムは構築していたが、55の地域をブロック化していたため、1ブロックを供給停止するとその影響が大きかった。現在は3倍以上の164ブロックに細分化し、きめ細かい対応がとれるようにしている。地震が発生したら人が判断するのではなく、機械的に止まるようにしているのも、阪神・淡路大震災から得た生命第一のための大事な教訓だ」(堀内氏)。

今回の大阪北部地震では、同社のガス供給エリアのなかで11万2千戸のガスの供給がストップした。これらをなるべく早く供給再開しなければいけないが、まず病院など公共性の高い施設を優先的に復旧させなければいけない。事前の調査により、病院や特定養護老人ホームなど公共性の高い施設に関してはあらかじめリストアップしてあった。今回のガス供給エリア内では21カ所。そのような場所にはLPGガスと空気を混合し、都市ガスと同じ熱量の代替ガスを作る移動式ガス発生設備を持ち込み、臨時供給を行った。地中のガス管が復旧すれば速やかにこれらの器具は撤去し、都市ガスに切り替える。

しかし、本当に大変なのは11万2千戸ある一般生活者の家庭へのガス供給だ。これに対しては一軒一軒家を訪問し、作業員がガス漏れを検査しながらガスを開栓する作業を行わなければいけない。この膨大な件数をどのように処理していったのだろうか。

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