2014/08/01
防災・危機管理ニュース
導入・運用の概算費用も明示
総務省や独立行政法人情報通信研究機構(NICT)耐災害研究センター(センター長/根本義章東北大学教授)らで構成される耐災害ICT研究協議会は7月16日、「災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドライン(第1版)」を公表した。
東日本大震災では情報通信技術(ICT)サービスのインフラに被害や障害が発生し、自治体業務(災害対応、定常業務)の遂行に大きな支障をきたした。ガイドラインは東日本大震災以上の大規模な災害が発生した場合も、自治体職員が職務を円滑に遂行することを支援するICTサービスの導入に関して指針を示した。
ガイドラインは被災者の声も掲載。ある自治体の職員は「避難所と連絡が取れたのは4日目以降。本庁が関わる70カ所の避難所の情報を集めることができたのは3月下旬だった。5月後半に、ようやく各避難所に携帯電話が設置され、やり取りできるようになった」と話す。最終手段とされていることが多い防災行政無線も、東北・関東管内の少なくとも66自治体で損壊、流出、断線などの被害が発生したという。
「災害に強い情報通信ネットワーク技術」編では、システムを具体的に例示した。ネットワークを3つの要素に分け、「関係者間で情報を共有する仕組み」「被災地でネットワークをつなぐ仕組み」「地域住民に災害関連情報を提供する仕組み」についてそれぞれ解説している。例えば「被災地でネットワークをつなぐ仕組み」では、災害時に公共Wi-fiのセキュリティロックを外して公衆ネットワークを開放することや、Wi-fiなど通信に必要な機能を搭載したICT車を備えることで、避難所などの狭いエリアのネットワークを臨時に構築する方法のほか、衛星電話を拠点にする方法などを掲載している。
「災害対応拠点を中心とした災害情報の共有事例」編では、システム導入における概算費用も明示した。「通信費用搭載車輛」の導入は一式3000万円。運用は年間一式で6万円~16万円という。
ガイドラインの内容に関する問い合わせは以下まで。
耐災害ICT研究協議会事務局
独立行政法人情報通信研究機構 耐災害ICT研究センター
〒980-0812 宮城県仙台市青葉区片平2-1-3
TEL 022-713-7511
E-Mail reif-contact@ml.nict.go.jp
URL http://www.nict.go.jp/reict/
【ガイドラインの構成】
「災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドライン」目次
本ガイドラインの目的と位置付け
想定外だった通信の被災
我が国における災害
地域毎の災害リスク
災害発生時の自治体業務
災害発生時の通信
課題と対策
災害に強い情報通信ネットワーク技術 システム例
システムの全体イメージ
被災地でネットワークを繋ぐ仕組み
地域住民に災害関連情報を提供する仕組み
関係者間で情報を共有する仕組み
具体的な導入シナリオ
<事例①>災害対応拠点を中心とした災害情報の共有
<事例②>災害時における迅速かつ確実な情報提供・共有
<事例③>面的かつ重層的にネットワークを構築し情報共有を円滑化
総務省ニュースリリース
「災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドライン」の公表
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000094.html
- keyword
- ITセキュリティ
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
-
民間企業の強みを発揮し3日でアプリ開発
1月7日、SAPジャパンに能登半島地震の災害支援の依頼が届いた。石川県庁が避難所の状況を把握するため、最前線で活動していた自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)の持つ避難所データを統合する依頼だった。状況が切迫するなか、同社は3日でアプリケーションを開発した。
2024/04/11
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方