リスク対策.com Vol.45

 

 

■特集1
甘い想定では生き残れない
スーパー豪雨にどう備える?!
企業・自治体の対策

 

“異常”という言葉しか見当たらない。

「7月の台風では最強レベル」と言われた台風8号の襲来に続き、8月には京都府福知山市や兵庫県丹波市で記録的な集中豪雨が発生。その直後に、今度は広島市を継続的な豪雨が襲い、大規模な土砂災害により70人以上が犠牲になった。そして、東京でもつい先日、1時間あたりの雨量が100㎜を超える猛烈な豪雨が降った。少し前まで、突発的で局地的な豪雨は「ゲリラ豪雨」と呼ばれていたが、近年はその概念を超えた“スーパー豪雨”ともいうべき現象が各地で相次いでいる。

興味深いデータがある。気象庁が今年6月に発表した「気候変動監視レポート2013」によると、日本の降水量は長期的には大きく変動していないものの、1日の降水量が100㎜以上、あるいは200㎜以上という大雨の年間日数は年々、増加している。

さらに、地域気象観測所(アメダス)がとらえた日降水量400㎜以上の年間観測回数も大幅に増加している。今年のデータを加えればさらに顕著な傾向になることは間違いない。

異常なのは日本だけではない。2011年と2013年には立て続けにタイで大洪水が発生。昨年11月にフィリピンを襲った台風は、最大瞬間風速が100mを超え観測史上最大の規模となった。地球温暖化により海水の温度が上昇すれば、こうしたスーパー台風の発生確率はさらに高まるとの研究結果もある。米国でもまた、2012年10月に巨大ハリケーン・サンディが東海岸に上陸し、ニューヨーク州やニュージャージー州に甚大な被害をもたらした。

一方で、米国では、ハリケーン対策プログラムに基づく対応が大きな減災効果を上げたと報告されている。州政府が中心となり、災害が想定される数日前から、発生、その後の対応まで、さまざまな機関が災害時に何をするか時間を追って整理した「タイムライン」を導入して対応にあたり、多くの被害を未然に食い止めた。

日本の企業、自治体の対策はどうすればいいのか?前線の影響などにより複雑に気象状況が変わる日本でタイムラインは有効なのか?

企業・自治体で行われている対策と、日本版タイムライン構築への課題をまとめた。

 ◆風速80mの台風が日本を襲う! 地球温暖化で超暴風化
 ◆間近に迫る「首都水没」の可能性 世界1危ない国際都市「東京」
 ◆「地下」への雨水流入を遮断 東京地下鉄株式会社
 ◆地域住民とともに訓練を実施 名古屋市交通局
 ◆洪水の脅威を知る企業の対策 株式会社コロナ
 ◆結果事象のBCPで被害を阻止 豊田通商株式会社
 ◆大丸有地区のビルを守る 三菱地所株式会社
 ◆玩具の町を守りたい! 創業者の願いを引き継ぐ
 ◆「身の丈」洪水対策チェック項目
 ◆被災教訓を生かし豪雨対策 三条市/見附市/新潟県
 ◆時系列の対応検証 奈良県橿原市
 ◆これがタイムラインの真のメリットだ! 日本導入にあたって注意すべき3つの課題
 ◆ハリケーン・サンディに学ぶ教訓 NY市と民間企業の連携

■巻頭インタビュー 前復興副大臣・財務副大臣愛知治郎氏
  硬直化した復興政策を変革する若き復興リーダーの挑戦

■特集2 特別寄稿 エボラ出血熱猛威の真相
 東京慈恵会医科大学教授 浦島充佳

エボラ出血熱の被害が拡大している。アフリカでは過去に20回以上も流行を繰り返しているが今回は最大級の被害になっている。未承認薬の使用で一部効果が報じられているが、まだ時間を要する見通しだ。日本への影響はないのか?東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授に特別寄稿していただいた。

■シリーズ 
 サマンサのBCP英語講座
 おかしくないか?日本の防災対策 齋藤實
 簡単に理解できるERM講座 勝俣良介
 災害から命を守れ 熊丸由布治
 レジリエンスに関する世界の調査研究 田代邦幸
 レジリエンスを巡る旅 昆正和
 業種別BCPのあり方 小山和博
 インターネット新時代の労務リスクマネジメント 毎熊典子
 情報セキュリティ対策の実施及び見直しのポイント 森徳行
 BCP担当者が最低限知っておきたい労務リスクマネジメント 岡本裕明