原子力発電所のテロ対策施設について、原子力規制委員会は24日、期限までに完成しなかった場合、運転中の原発の停止を命じる方針を決めた。電力会社が期限までに建設が完了しないとの見通しを示した問題を受けた方針で、期限の延長もしない。
 テロ対策施設である「特定重大事故等対処施設」(特重施設)について、関西、四国、九州の電力3社は17日の規制委との会合で、山を切り開く工事や耐震強度を高めた建物の建築作業など、工事が想定より大規模になっていると説明した。
 「見通しが甘かったかもしれないが、はるかに大規模な工事が発生している」として、期限よりも完成が1~3年程度遅れるとの見通しを示し、規制委に対し、事実上期限延長を求めていた。
 3社の説明では、5原発10基が遅れる見込みで、四国電伊方3号機(愛媛県)や関電高浜3、4号機(福井県)など、再稼働した4原発7基が含まれる。このほか、九電玄海原発(佐賀県)が期限を越える見通しで、日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)も2023年10月までに特重施設を完成させる必要がある。
 九電川内原発(鹿児島県)1号機が、最も早く20年3月に期限を迎える。工事が完了するまで約1年間、1号機は運転できなくなる可能性がある。 
 特重施設はテロ攻撃などに備え、新規制基準で設置が義務づけられた。当初は18年7月が期限だったが、再稼働の審査に時間がかかるため、工事計画の認可から5年に変更されていた。
 更田豊志委員長は24日の記者会見で、「大きな自然災害などがあれば状況の変化だが、建築物を作る際の事情などは本来考慮されているべきもの」と指摘。各社の個別事情を聞くことは否定しなかったが、「前回の説明を聞いた限り、方針の適用を免れるとは思わない」と述べた。
 ◇運転停止の可能性がある原発
電力会社   原発  状態   対テロ施設設置期限   超過期間
九州電力 川内1号機 運転中  2020年 3月17日  約1年
       2号機 運転中  2020年 5月21日  同上
関西電力 高浜1号機 停止中  2021年 6月 9日  約2年半
       2号機 停止中      同上       同上
       3号機 運転中  2020年 8月 3日  約1年
       4号機 運転中  2020年10月 8日  同上
四国電力 伊方3号機 運転中  2021年 3月22日  約1年
関西電力 美浜3号機 停止中  2021年10月25日  約1年半
     大飯3号機 停止中  2022年 8月24日  約1年
       4号機 運転中      同上       同上
九州電力 玄海3号機 運転中  2022年 8月24日  未定
     玄海4号機 運転中  2022年 9月13日  未定
日本原電 東海第2  停止中  2023年10月17日  未定
※超過期間は、設置期限後、現時点で電力会社が見込む工事完了までの期間
※大飯3号機は再稼働後、定期検査中
(了)

〔写真説明〕記者会見する原子力規制委員会の更田豊志委員長=24日午後、東京都港区

(ニュース提供元:時事通信社)