大津市で散歩中の保育園児らが巻き込まれた死傷事故。園側も安全に配慮していたが、悲劇は起きた。小中学校の通学路に比べ、通園路や校外活動に使う道路は対策が遅れており、限界を指摘する声もある。子どもの安全はどう守るのか。
 警察庁によると、昨年、歩行中に交通事故に遭った未就学児は1361人で、うち17人が死亡。幼稚園や保育園の行き帰りや、預かり中の被害は計112人に上る。
 2012年に京都府亀岡市で集団登校中の小学生らが死傷した事故を機に通学路の安全確保は進み、文部科学省の緊急点検で浮上した危険箇所7万4483カ所の約97%で既にガードレール設置などの対策が取られた。
 一方で、遠足や部活など校外活動で通る道路は点検の対象外。保育園や幼稚園は保護者の送迎や通園バスが前提で、通園路の調査自体していない。
 文科省の担当者は「放課後子どもが通る道もある。全ての点検は不可能」と話す。通学路以外は、各校ごとに授業で安全意識を高めたり、PTAなどから危険情報を得たりしているという。
 園児の散歩など外での活動について、厚生労働省は経路の危険箇所や交通量を事前に確認するよう指針で規定。大津市の保育園も車道と離れた側を歩くなど安全対策を取っていたが、事故現場が危ないという認識はなかったという。
 滋賀県警によると、現場では最近5年間で人身事故は起きていなかった。歩道は幅約4メートルで、縁石もあり、管理する県道路課は「歩行者を巻き込む事故は過去になく、安全と考えていた」と説明。改めてガードレール設置などを検討するというが、担当者は「より危ない道もあり、予算的に優先順位を付けざるを得ない」とも話す。
 交通事故鑑定「ラプター」の中島博史所長は「今回のような事故は誰もがちょっとした不注意で起こす可能性があり、完全に防ぐには膨大なコストがかかる。ハード面の対策には限界があり、運転には危険が伴うという教育を地道に進めて意識を変えていくしかない」と話している。(了)

(ニュース提供元:時事通信社)