世界文化遺産や国宝に登録・指定されている建造物の約2割が消火設備の整備・改修から30年以上経過し、老朽化による機能低下の恐れがあることが8日、文化庁の調べで分かった。同庁は「いざというときに機能するか懸念がある」とし、近く防火対策に関するガイドラインを作成する。
 パリのノートルダム大聖堂で起きた火災を受け、同庁は4~6月、重要文化財に指定された国内の建造物の防火管理状況について緊急調査を実施。防火対策の必要がない石塔などを除いた建造物4649棟を対象とし、4543棟について所有者から回答を得た。
 世界文化遺産や国宝に登録・指定された799棟中、消火器以外の消火設備が整備され既に30年以上たったものは146棟(約18%)。整備から30年未満の建造物についても、配管からの漏水など一部に不具合を示すものが約半数あった。また、世界遺産や国宝を含む重要文化財全体では871棟で整備から30年以上が経過していた。
 重要文化財に指定された建造物は、消防法で自動火災報知設備や消火器などの設置が原則として義務付けられている。しかし、調査では世界遺産4棟、重要文化財358棟で自動火災報知設備が設置されていなかった。
 同庁は、法律上設置を免除されるケースや、最近重要文化財に指定され整備中のものもあるとして、未設置だった建造物の精査を進める方針。
 一方、美術工芸品の国宝を保管する博物館などへの調査でも、約半数の施設で消火設備を整備してから30年以上経過していたことが判明した。 

(ニュース提供元:時事通信社)