プレート境界がゆっくり滑って起きる「スロー地震」について、京都大防災研究所などの研究チームが日本海溝周辺の詳細な分布図を初めて作成した。多発地域は東日本大震災で断層が大きく滑った震源域を挟む形で南北に分布しており、急激な断層破壊を食い止めた可能性が高いという。論文は23日、米科学誌サイエンス電子版に掲載された。
 研究チームの西川友章・日本学術振興会特別研究員らは、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が運用する日本海溝海底地震津波観測網(S-net)などのデータを使い、スロー地震多発域の分布図を作成。日本海溝を北部、中部、南部に区分した。
 その結果、東日本大震災で断層が大きく滑った宮城県沖を含む中部では、スロー地震の発生があまり多くなかったのに対し、三陸沖などのある北部と福島沖などの南部では多発しており、大震災でも大きな断層破壊はなかった。また、多発地域では1930年以降のマグニチュード7以上の大地震でも、断層が大きく滑ることはなかった。
 西川氏は「スロー地震多発域は断層がゆっくり滑ることしかできず、大地震でも高速の破壊が起きないのではないか」と指摘。将来、大地震が予測される南海トラフでも、陸側と沖合にそれぞれスロー地震の多発域があるといい、「今回の仮説が正しければ、南海トラフ大地震でも、震源域の断層破壊を妨げる可能性があるのでは」と話している。 

(ニュース提供元:時事通信社)