台風19号の上陸に伴い、浸水やサプライチェーン(部品供給網)の寸断で工場の操業停止が続き、交通インフラの復旧も遅れるなど、産業界には深い爪痕が残る。近年は大規模な自然災害が増えており、非常時に備えた事業継続計画(BCP)の再点検が急務になっている。
 SUBARU(スバル)は、部品調達先が浸水被害を受け、群馬製作所(群馬県太田市)の操業を16日に停止。25日の再開を目指しているが、約1万台の四輪車生産に遅れが出る見通しだ。豊田自動織機も、部品確保の問題で高浜工場(愛知県高浜市)を16日から停止している。
 福島県郡山市の工業団地では、日立製作所のグループ会社やパナソニックの工場が浸水で稼働を停止。パナソニックは生産再開に最長2カ月程度かかるとみている。IHIは、工業用水の断水で、同県相馬市の工場の稼働を18日まで中止した。
 メーカー各社は、東日本大震災など過去の災害の教訓を踏まえ、BCPの強化を進めてきた。部品の代替調達先の確保などが柱だが、災害対応に万全を期すことの難しさが改めて浮かび上がっている。
 部品メーカーには小規模な企業も多く、防災対策の遅れが目立つ。日本商工会議所が9月に公表した調査結果では、BCPを「策定済み」「策定中」の中小企業は計28%にとどまった。ノウハウや人員の不足が響いており、日商の三村明夫会頭は18日の記者会見で「今回を契機に(BCP)策定を考えるべきだ」と危機感を示した。
 一方、北陸新幹線は、JR東日本の長野新幹線車両センター(長野市)に置かれていた10編成120両が浸水被害を受けた。25日には全線(東京-金沢)の運転を再開するが、運行本数は通常の8~9割にとどまる見通し。
 スーパー大手のイトーヨーカ堂やイオンリテールは、既に通常営業に復帰。大手コンビニエンスストアでは、依然営業を見合わせている数十店も順次再開する。停電などで通信障害が多発した携帯電話大手3社には、総務省が基地局の予備電源拡充を求める方針だ。 

(ニュース提供元:時事通信社)