25年前の阪神大震災では、被災状況の把握が遅れ公的な救助が後手に回る中、多くの住民が隣人らに救助された。「共助」が生きた経験や平時の備えへの反省から、神戸市では自主防災を目指す活動が活発化。中でも、災害発生時のさまざまなノウハウをゲーム感覚で下の世代へ継承する取り組みが広がりを見せている。
 今月11日、市内の商業施設で体験型防災イベント「イザ!カエルキャラバン!」が開かれた。工作体験コーナーは、ゴミ袋でポンチョを作ったり、紙で食器を折ったりする小学生らであふれ、段ボールで作ったいすを笑顔で持ち帰る子も。防災グッズが当たるスタンプラリーもあり、祭りのような光景が見られた。
 考案したのはNPO法人「プラス・アーツ」理事長の永田宏和さん(51)。被災者にヒアリングした知識や技術を基に、毛布で作る即席担架のリレーや水消火器による的当てなど、ゲーム感覚で学べるプログラムを多数用意し、避難生活に役立つ工作のワークショップに子どもと大人が一緒に参加する。
 カエルのキャラクターがシンボルで、震災10年を機にスタート。コンセプトは「楽しい防災訓練」だ。永田さんは「当初は批判も受けたが、強い手応えを感じた」と語る。2011年の東日本大震災後、各地から実施依頼が急増。住民団体などが講習を受けて運営する方式で、これまで全国で500回以上開催した。
 18年の西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市の真備地区では昨年11月、市立真備中学校の生徒らが主体となって催した。一般社団法人岡山次世代スクール協会の高山和成さん(29)は「子どもが自分で動けるようになるプログラム。中学生が体験を伝え、災害の対処法を教えられるようになるといい」と話す。
 大阪教育大付属の平野中学校や高校なども、OBらの後援会がバックアップして18年から開催。キャラバンをベースに、高校生らがクイズや体操など独自のプログラムを考案した。区役所や自衛隊も加わり、昨年3月には1200人が参加した。
 同中学校の野中拓夫副校長は「地域との連携に、非常に有効。生徒は、成果を地域の人に使ってもらえる手応えを感じている」と歓迎する。同大では、参加した小学生の防災の知識習得度を調査し、効果を検証する取り組みも進めている。 
〔写真説明〕災害時に役立つ知識や技をゲームや工作体験で学ぶ「イザ!カエルキャラバン!」のブース=11日、神戸市垂水区のマリンピア神戸
〔写真説明〕「カエルキャラバン!」の地域版「ひらのBOSAIキャラバン」で、水消火器で的当てを体験=2019年3月、大阪教育大付属平野五校園

(ニュース提供元:時事通信社)