紀伊半島沖から四国沖にかけての南海トラフで、陸海のプレート境界の浅い部分がゆっくり滑る現象を7地点で検出したと、海上保安庁の石川直史火山調査官と東京大の横田裕輔講師が15日付の米科学誌サイエンス・アドバンシーズに発表した。将来、観測地点が増えてデータが蓄積されれば、巨大地震のリスク評価に役立つと期待される。
 南海トラフの浅い部分は沖合遠くの海面下10キロ程度にあり、全地球測位システム(GPS)などを使った陸上観測網では地殻変動を捉えにくい。このため、海保は観測したい場所の上に海底局を設置し、年に数回、船から音波で位置を測定。GPSなどで把握した船の位置と合わせて計算することで、地殻変動による海底局の移動を捉えている。
 南海トラフでは陸側プレートの下に海側プレートが沈み込み続けている。境界は固着している部分と滑っている部分があり、長年固着してひずみがたまった所が急に滑ると大地震や津波を引き起こす。
 ゆっくり滑りを検出した7地点は、強い固着が推定される領域の周辺にあり、変動幅は5~8センチ程度。このうち紀伊水道沖の2地点は2017年から18年にかけ、同時にゆっくり滑っていた。
 ゆっくり滑った所の近くにある固着域では、急に滑らせようとする圧力が高まる恐れがある。横田講師は「力の変化を知るにはさらなる観測が必要。まず平時の状態を知らないといけない」と話している。 

(ニュース提供元:時事通信社)