東京電力福島第1原発事故で住む場所や生活を奪われたとして、福島県や近隣県の住民計約3650人が国と東電に居住地の放射線量低減(原状回復)と慰謝料を求めた訴訟の控訴審が20日、仙台高裁(上田哲裁判長)で結審した。判決期日は追って指定される。原告団によると、原発事故をめぐり国の責任を訴えた裁判の控訴審の結審は初めて。
 各地で起こされた同種訴訟で原告数が最も多く、一審福島地裁は約2900人に総額約5億円を支払うよう国と東電に命じる一方、原状回復の訴えは退けていた。同種訴訟の一審判決では国の賠償責任が6件で認められ、4件で否定されている。
 原告側は、一審判決は賠償の額や対象範囲が不十分と主張。政府機関が2002年に発表した地震予測の「長期評価」に基づき、国は敷地高を超える津波の発生を予見できたと訴えた。国は「長期評価の信頼性は高くなく、津波は予見できなかった」と主張した。
 この日は福島県相馬市に住む原告団長の中島孝さん(64)が意見陳述し、「原告らは耐え難い苦しみを背負いながら、希望ある生活に立ち戻るんだと自分を奮い立たせてきた。被害者が希望を持って生きることを励ます名誉ある判決を出してほしい」と訴えた。 

(ニュース提供元:時事通信社)