2020/04/11
防災・危機管理ニュース
記録的な大雨により河川が氾濫するなどし、各地に浸水被害をもたらした昨年の台風19号の上陸から、12日で半年。被災当時、多数のボランティアが駆け付けた長野県は今月、災害ボランティアの交通費や宿泊費などを支援する制度を新たに設けた。県の担当者は「ボランティアの参加を広げ、多くの方から支援を受けた恩返しもしたい」と話している。
台風19号災害で、長野県内では土砂やがれきの撤去などに延べ8万1000人超のボランティアが参加した。遠方から駆け付けた人も多かったが、交通費などは自己負担だった。
新設された制度では5人以上のボランティアグループに対し、被災地への交通費や宿泊費、重機や軽トラックのレンタルなどの費用を、20万円を上限に支援する。県内被災地が支援を受ける場合だけでなく、県外の被災地へ向かう際も対象となる。財源はふるさと納税を利用した寄付で賄う。
県が参考にしたのが、2019年度に設立された兵庫県の同様の支援制度。台風19号で初適用され、兵庫県から長野、宮城、福島など5県へ、制度を利用した53団体、延べ約670人がボランティアに入った。兵庫県県民生活課の宿南ひとみ・参画協働ボランタリー活動支援班長は「阪神淡路大震災の経験があり、ボランティア支援に力を入れてきた。個人のグループですぐ支援に行きたいという声に応えた」と制度設立の背景を説明する。
長野県の台風19号災害のボランティア受け入れは既に終了している。県の担当者は「今後の災害で多くの支援を受けたり、支援に行けたりするようにしたい」と話す。
台風被害の発生以来、長野市内で活動を続ける災害NGO結(沖縄県)の代表、前原土武さん(41)は、「長野での経験や知識を県外で生かせるという意味で、長野の防災力は高まると思う」と新制度を評価する。一方で、「ハードルが下がり参加しやすくなる分、事前の勉強会や報告会を行う必要がある」と指摘。費用負担と併せて、参加者の意識を高めるソフト面の支援の必要性を訴えた。
〔写真説明〕台風19号で被災した民家から泥をかき出すボランティア=2019年10月、長野市
〔写真説明〕台風19号災害でのボランティア受け入れ作業=2019年10月、長野市
(ニュース提供元:時事通信社)


防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
これからの国土づくり 「構想力」と「創意工夫」で
政府の復興構想会議のメンバーとして東北の被災地を訪ね、地域の再生や強靭な国土づくりに多くの提言を行った東京大学名誉教授の御厨貴氏は当時、これからの日本の行方を「戦後が終わり、災後が始まる」と表現しました。あれから10年、社会はどう変わったのか。いつか再び起こる巨大地震をめぐり、政治・行政システムや技術環境、市民の生活や仕事はどう進歩したのか。これまでを振り返ってもらいながら、現在の課題、今後の展望を語ってもらいました。
2021/01/14
-
ボランティアの可能性~被災地におけるボランティアの役割と現場で生じている課題~
災害時のボランティアの役割や被災地で生じる課題などについて
2021/01/14
-
FEMAが18の自然災害と社会的脆弱性までを解析したリスク指標を発表
米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)は、州や地方自治体が自然災害に備え、被害を軽減させるのに役立つ新しいナショナル・リスク・インデックス(NRI)を発表した。
2021/01/11