【ニューヨーク時事】米中西部ミネソタ州ミネアポリスで25日、黒人男性が拘束時に白人警官に首を圧迫されて死亡した事件をめぐり人種差別に抗議するデモは全米に広がった。免職となった元警官は29日、殺人などの容疑で逮捕されたが、米国で相次ぐ人種差別を背景に市民の不満は収まらず、デモは30日も続いた。
 米メディアによると、夜間の外出が禁止になったミネアポリスでは29日深夜以降もデモが続き、放火とみられる火災や略奪が再び起きた。ミネソタ州は動員する州兵を1700人以上に拡大する。元警官の逮捕後も首都ワシントンのホワイトハウス前やニューヨーク、ロサンゼルス、アトランタなど米各都市でデモが起き、一部は暴徒化した。デモ隊からは、死亡した黒人男性が拘束時に繰り返した「息ができない」や、「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切)」のシュプレヒコールが起こった。
 捜査当局などによると、逮捕された元警官はデレク・ショビン容疑者(44)。偽札使用の疑いが持たれたジョージ・フロイドさん(46)の拘束時に首を8分46秒にわたり膝で圧迫。フロイドさんの反応がなくなってからも2分以上圧迫し続けたとされる。フロイドさんは搬送先の病院で死亡が確認された。
 米国では今月、白人による黒人に対する暴力などが相次ぎ報じられ、人種差別に抗議する動きが相次いでいた。ジョージア州で2月、ジョギング中の黒人男性が撃たれて死亡する事件があり、今月に入り白人父子による襲撃を撮影した動画の存在が判明し、父子は逮捕された。ニューヨークでも最近、引き綱を外して飼い犬を散歩させていた白人女性が黒人男性に注意を受け、「アフリカ系の男が私の命を脅かしている」と通報。この様子が収められた動画が拡散し、女性は人種差別的言動を理由に勤め先から解雇された。
 白人警官による丸腰の黒人への過剰な暴力も後を絶たず、2014年には白人警官が相次ぎ不起訴になったことで全米で大規模デモが起きた。うちニューヨークの事件では問題の警官が懲戒免職になったのは19年。フロイドさんの事件では事件翌日に関わった警官4人が免職になり、うち1人は「異例のスピード」(当局者)で逮捕に至った。ただ、今回の事件で一気に噴出した差別問題への不満が収束する見通しは立っていない。 
〔写真説明〕30日未明、米ワシントンのホワイトハウス前で、黒人男性死亡事件に抗議し、警官隊ともみ合うデモ隊(EPA時事)
〔写真説明〕29日、米ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性死亡事件に抗議するデモが続く中、放火され炎上した事業所(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)