【ソウル時事】北朝鮮は16日午後2時50分(日本時間同)ごろ、南西部・開城工業団地内の南北共同連絡事務所を爆破した。連絡事務所は、韓国の文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が2018年4月の初会談で設置に合意した南北交流の象徴的事業。爆破により北朝鮮の対決姿勢が鮮明になり、文氏が進める南北融和は大きく後退した。
 朝鮮中央通信が「完全破壊された」と報じた。韓国政府も発表し、国防省は連絡事務所の庁舎が爆破で崩れる様子を映した映像を公開した。
 今月4日以降、北朝鮮は韓国の脱北者団体が正恩氏を批判するビラを散布したことに強く反発している。連絡事務所爆破は南北間の通信線遮断に続く対抗措置で、朝鮮中央通信は「ゴミどもとこれを黙認した者たちが罪の代価を受け取るべきだという激怒した民心に応えた」と伝えた。
 韓国大統領府は16日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を緊急に開催。金有根・国家安保室第1次長はNSC後の記者会見で、爆破は「南北関係の発展と韓(朝鮮)半島の平和定着を望む人々の期待を裏切る行為だ」と述べ、北朝鮮を強く批判し、状況をさらに悪化させた場合、「強力に対応する」と警告した。
 北朝鮮の非核化をめぐる米朝対話が暗礁に乗り上げ、国際社会の制裁は長期化する見通し。新型コロナウイルスの影響もあり、北朝鮮経済は苦境に陥りつつあるとみられている。北朝鮮は韓国を「敵」と表現して対決色を再び強め、緊張を高めることで体制引き締めを図る狙いもありそうだ。 
〔写真説明〕16日午後、北朝鮮が爆破した南西部・開城工業団地内の南北共同連絡事務所(韓国国防省提供)

(ニュース提供元:時事通信社)